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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻13号

2017年12月発行

症例報告

ダーモスコピー所見が診断に有用であった疣贅状表皮発育異常症の1例

著者: 泉祐子1 川瀬正昭1

所属機関: 1東京逓信病院皮膚科

ページ範囲:P.1105 - P.1109

文献概要

要約 78歳,女性.20歳時に前額部に瘢風様の鱗屑を伴う褐色局面が出現し,疣贅状表皮発育異常症の可能性を指摘され,遮光するように指導された.2011年5月細菌性髄膜炎で当院内科に入院中当科を初診した.初診時,前額部,前頸部,胸部,背部に鱗屑を伴う褐色から紅色の局面がみられた.ダーモスコピー像では,角化と左右非対称な単一な網目状の褐色斑,淡紅色の領域がみられ,褐色斑は毛孔部を避けて分布していた.病理組織像では,厚い角質,表皮内に澄明変性細胞の集塊を認めた.また澄明変性細胞の核に一致して,抗human papillomavirus(HPV)抗体染色は陽性で,背部の鱗屑より抽出したDNAよりpolymerase chain reaction法にてHPV5型が検出された.疣贅状表皮発育異常症と診断した.明らかな免疫異常がなく,患者が遮光を長年行っていた結果,癌化はみられなかった.

参考文献

1) Lewandowsky F, et al:Arch Dermatol 141:193, 1922
2) 谷垣武彦,他:日皮会誌 94:15, 1984
3) 川瀬正昭:Derma 183:1, 2011
4) Majewski S, Jabłońska S:Arch Dermatol 131:1312, 1995
5) Tanigaki T, et al:Jpn J Cancer Res 77:896, 1986
6) Prawer SE, et al:Arch Dermatol 113:495, 1977
7) Ramoz N, et al:Nat Genet 32:579, 2002
8) Segura S, et al:Dermatol Surg 32:103, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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