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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻2号

2017年02月発行

文献概要

症例報告

緩徐な経過を示し保存的療法で軽快した薬剤性過敏症症候群の1例

著者: 大井裕美子1 吉田哲也1 川北梨乃1 齊藤優子1 佐々木優1 福田知雄1

所属機関: 1国立病院機構東京医療センター皮膚科

ページ範囲:P.111 - P.116

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要約 80歳,女性.関節リウマチでサラゾスルファピリジン投与中,高齢発症てんかんのためカルバマゼピン内服が開始された.内服開始27日目より肝機能障害を認め,34日目に内服が中止され,その2日後より皮疹が出現した.初診時,全身に粟粒大までの紅斑と頸部リンパ節腫脹,血液検査で異型リンパ球と肝機能障害を認めた.経過より薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)を疑ったが,全身状態良好なため,保存的療法で経過をみた.皮疹出現6日目に下半身優位な紫斑を,8日目に39℃台の発熱を一過性に認めたが,その後は順調に自然軽快した.カルバマゼピンの薬剤リンパ球刺激試験が皮疹出現4日目と早期に陽性を示し,皮疹出現17日目にHHV-6の再活性化を確認しDIHSと確定診断した.検査データの推移より,DIHS発症時期は肝機能障害を生じた時期,もしくはその前と考えた.関節リウマチに対して投薬中のサラゾスルファピリジンが自験例ではDIHSの重症化を防いだ可能性があると考えた.

参考文献

1) 藤山幹子:最新皮膚科学体系,5巻,中山書店,p56, 2004
2) 狩野葉子:アレルギー・免疫 10:823, 2003
3) 塩原哲夫:最新皮膚科学体系,5巻,中山書店,p10, 2004
4) Shiohara T, et al:Clin Rev Allergy Immunol 33:124, 2007
5) 塩原哲夫:医学のあゆみ 205:960, 2003
6) 橋本純子,他:炎症 11:279, 1991
7) Fujiwara M, et al:Immunopharmacology 19:15, 1990
8) Fujiwara M, et al:Jpn J Phamacol 54:121, 1990

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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