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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻2号

2017年02月発行

文献概要

症例報告

頭部皮下膿瘍を伴った自己免疫性好中球減少症の1例

著者: 水口将志1 東野俊英2 黒木康富3 川久保洋4

所属機関: 1自衛隊中央病院皮膚科 2防衛医科大学校分子生体制御学講座 3自衛隊中央病院小児科 4かわくぼ皮ふ科クリニック

ページ範囲:P.127 - P.130

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要約 5か月,女児.初診2週間前より頭部に紅斑が出現した.前医小児科にて治療するも一部の病変が難治であり徐々に隆起してきたため当院小児科に入院,その後皮膚科を紹介受診となった.初診時,左側頭部に直径約1cmの膿瘍を2か所認めた.入院時,末梢血好中球絶対数が241/μlと著明に減少し,血清学的に抗HNA-1抗体を認めたため自己免疫性好中球減少症(autoimmune neutropenia:AIN)と診断した.切開排膿後,抗菌薬の投与にて軽快した.しかしながら退院1か月後に気管支肺炎および口腔内粘液囊胞の二次感染を発症し,再入院を要した.その後ST合剤の予防投与にて再発はおさえられた.初回入院より22か月後には末梢血中の好中球数が正常化し治癒した.AINは乳児の難治性または反復性皮膚感染症における鑑別疾患として重要と考えられる.

参考文献

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2) 五十嵐隆,水口 雅(編):小児臨床検査ガイド,文光堂,p64, 2009
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9) Bruin M, et al:Vox Sang 88:52, 2005
10) Smith MA, Smith JG:Curr Opin Hematol 8:165, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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