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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻2号

2017年02月発行

文献概要

症例報告

左乳房に生じたClark nevus with peripheral rim of globulesの1例

著者: 吉岡未里1 山本洋輔1 外川八英1 末廣敬祐1 神戸直智1 松江弘之1

所属機関: 1千葉大学大学院医学研究院皮膚科学

ページ範囲:P.151 - P.155

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要約 23歳,女性.初診の2年前に左乳房に褐色斑を自覚し,除々に拡大傾向にあったため悪性黒色腫の鑑別目的で当科を紹介され受診した.初診時,左乳房に10×11mmの濃淡のある褐色斑を認めた.ダーモスコピーにて無構造領域を背景として辺縁に不均一にdotsないしglobulesがみられた.拡大傾向にあり,色調が多彩であることから悪性黒色腫を否定できないため切除した.病理組織像では,表皮内に腫瘍胞巣や個細胞性の増殖は目立たず,表皮真皮境界部に紡錘形を呈する腫瘍細胞の胞巣を認め,表皮突起をつなげるbridgingを認めた.また紡錘形の腫瘍細胞は下方に向かって小型化しmaturationが伴うことから同細胞を母斑細胞と考えた.母斑細胞の胞巣はHMB45陰性であったがKi-67は基底細胞を中心に陽性で母斑細胞全体では5〜10%の陽性率だった.以上よりClark母斑と診断した.病巣辺縁をglobulesが縁取るように配列するClark母斑はClark nevus with peripheral rim of globulesと分類され,拡大傾向のClark母斑にその所見は多く認められるのに対し,拡大傾向のない母斑ではわずかしか確認されない.自験例は青壮年期に一過性に急速な増大を示すClark nevus with peripheral rim of globulesと考えられ,辺縁のglobulesはClark母斑が完成期に至り消退傾向を示し,対称性を欠いているものと推察した.

参考文献

1) 斎田俊明:ダーモスコピーのすべて.南江堂,p76, 2012
2) Kittler H, et al:Arch Dermatol 136:316, 2000
3) Argenziano G, et al:Br J Dermatol 164:785, 2011
4) Clemente C, et al:Hum Pathol 22:313, 1991
5) Bajaj S, et al:JAMA Dermatol 151:1338, 2015
6) Buhl T, Haenssle HA:Hautarzt 62:625, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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