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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻3号

2017年03月発行

症例報告

巨大な痛風結節の1例

著者: 冲永昌悟1 田中隆光1 石川武子1 多田弥生1 大西誉光1 斉藤光次2 笹島ゆう子2 渡辺晋一1

所属機関: 1帝京大学医学部皮膚科学講座 2帝京大学医学部病理学講座

ページ範囲:P.229 - P.233

文献概要

要約 78歳,男性.約25年前に右外果腫瘤に気付いたが,自覚症状がないため放置していた.その後,腫瘤は徐々に増大し,10日前から疼痛が出現し,当科を受診した.右外果に潰瘍を伴う直径7cm大のドーム状に隆起した腫瘤があり,潰瘍内部には白色漆喰状の内容物を有していた.末梢血で尿酸値が8.7mg/dlと上昇し,痛風結節を疑い一部を生検した.組織では,HE染色(ホルマリン固定)で真皮に無定形物質が存在し,一部では針状の空隙が束状に集合していた.白色漆喰状物質のアルコール固定標本では,淡紅色調から褐色調の針状結晶を認め,デガランタ染色では黒色調に染色された.偏光顕微鏡下では,黄白色の光輝性結晶が観察された.痛風結節の診断で,結晶の可及的除去と,薬物治療を開始し,腫瘤の縮小がみられた.痛風結節は組織所見にて診断が確定でき,薬物治療による尿酸値のコントロールにて腫瘤が縮小していく場合がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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