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症例報告
原発性皮膚クリプトコッカス症の1例
著者: 森聖1
所属機関: 1名鉄病院皮膚科
ページ範囲:P.261 - P.264
文献購入ページに移動要約 80歳,女性.基礎疾患に関節リウマチあり.ステロイドと免疫抑制剤内服中.初診の1か月前から左前腕に一部丘疹を伴う浸潤性紅斑が出現した.生検病理組織所見で深在性真菌症が疑われ,Grocott染色,PAS染色で陽性の菌体要素がみられた.組織の真菌培養にてCryptococcus neoformans と同定した.血中クリプトコッカス抗原も512倍以上と陽性であった.肺病変 中枢神経病変などはみられず,原発性皮膚クリプトコッカス症と診断した.イトラコナゾール100mg/日を2か月内服にて前腕の紅斑は軽快したが,前腕の丘疹が再燃してきたため,イトラコナゾール200mg/日へ増量したところ略治した.露出部に浸潤性紅斑を見た場合深在性真菌症も鑑別に入れ,皮膚生検,組織真菌培養を積極的に施行すべきと考える.
参考文献
1) 松田哲男,松本忠彦:最新皮膚科学体系,14巻,中山書店,p281, 2003
2) 占部治邦,他:医真菌学,金原出版,p207, 1993
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