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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻3号

2017年03月発行

文献概要

症例報告

自己免疫性肝炎患者に生じた皮膚プロトテコーシスの1例

著者: 清永千晶1 松田光弘1 吉村和弘2 川村みゆき3 名嘉眞武国3

所属機関: 1公立八女総合病院皮膚科 2よしむら皮ふクリニック 3久留米大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.265 - P.270

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要約 63歳,女性.自己免疫性肝炎に対してプレドニゾロン20mg/日およびアザチオプリン50mg/日の内服で加療中であった.左手指の紅斑・びらんを主訴に当科を受診した.皮膚生検および培養検査にて皮膚プロトテコーシスと診断した.イトラコナゾール100mg/日で内服加療を3か月行ったが改善乏しく,200mg/日に増量した.その後,3か月で紅斑,びらんは褐色調の色素沈着を残すのみとなった.プロトテコーシスとは,葉緑体を欠く藻類に分類されるプロトテカによる稀な感染症である.自然界に広く分布し,免疫不全状態が感染のリスクとされる.プロトテコーシスは病理組織検査と培養検査によって特徴的な所見を示すことから,免疫不全患者で難治性皮膚病変を認めた際は,本症も念頭に置き確実に診断することが重要であると考えた.

参考文献

1) 松本義也,他:日皮会誌 111:1855, 2001
2) Davies RP, et al:Trans R Sor Trop Med Hyg 58:448, 1964
3) 柴田正之,他:日皮会誌 93:779, 1983
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8) 米谷さおり,他:皮膚臨床 45:1039, 2003
9) 波多野裕二,他:臨皮 50:215, 1996

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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