icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻4号

2017年04月発行

文献概要

症例報告

ポリジオキサノン縫合糸による接触皮膚炎の1例

著者: 坂本幸子1 廣畑彩希1 西本知子1 清原恵理子1 池上隆太1

所属機関: 1独立行政法人地域医療機能推進機構大阪病院皮膚科

ページ範囲:P.297 - P.300

文献購入ページに移動
要約 77歳,女性.左大腿ヘルニア修復術後24日目頃より創部に紅斑が出現した.接触皮膚炎の可能性を考えステロイド外用を5日間行ったが変化を認めず,蜂窩織炎や丹毒の可能性を考え抗菌薬を1週間内服したが,改善しなかった.手術で使用した材料の貼布試験を行ったところ,吸収糸(ポリジオキサノン縫合糸,PDS Ⅱ®)に陽性反応を認めた.ポリジオキサノン縫合糸は約6か月から8か月で加水分解により吸収するとされる.吸収による反応の消退を期待し無治療で経過をみたところ,徐々に紅斑は消失傾向を示し,術後6か月半で完全に消退した.臨床経過および貼布試験からポリジオキサノン縫合糸による接触皮膚炎と考えた.術後創部に発赤を生じた場合,縫合糸による接触皮膚炎も念頭に置き,疑わしい例には貼布試験が必要と考えられた.

参考文献

1) 森田 孝:皮膚病診療 33:719, 2011
2) 田中康嗣:整外と災外 62:673, 2013
3) Takazawa K:J Artif Organs 6:71, 2003
4) 河上 剛:整形外科 55:210, 2004
5) Della Torre F, et al:Eur Ann Aller Clin Immunol 37:47, 2005
6) 須貝哲朗:日皮会誌 84:151, 1974
7) Tanaka M:Contact Dermatitis 28:250, 1993
8) 加藤佳美:Derma 46:59, 2001
9) 椛島健治:皮膚病診療 33:686, 2011
10) Molea G, et al:Br J Plast Surg 53:137, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?