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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻4号

2017年04月発行

文献概要

症例報告

亜鉛経口投与に反応しなかった亜鉛欠乏症の1例

著者: 浅井裕子1 辻あすか1 小口真司1 斉木実1

所属機関: 1JA長野厚生連佐久総合病院皮膚科

ページ範囲:P.301 - P.305

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要約 77歳,男性.慢性腎疾患のため内科通院中であった.初診の2週間前から口囲・陰部に皮疹が出現し当科を受診した.亜鉛華軟膏の外用を行いいったん改善するも再燃し,血液検査にて血清亜鉛値が低値であったため亜鉛欠乏性皮膚炎と診断した.しかし,ポラプレジンク内服を開始したものの皮疹は改善せず,内服開始から2か月後にはびらんのため経口摂取不良となり,全身状態の悪化を認めたため当院内科入院となった.入院後,亜鉛を含む微量元素製剤の経静脈投与を行い皮疹は速やかに改善した.近年,慢性腎疾患患者の多くに亜鉛欠乏を認めるとの報告がある.自験例のように特徴的な皮疹をみた場合には積極的に亜鉛欠乏性皮膚炎を疑うべきであるとともに,血清亜鉛値が低値にもかかわらず亜鉛の経口投与に反応不良であった場合には吸収障害を考え,投与量もしくは投与方法の変更を検討すべきである.

参考文献

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8) Mahajan SK, et al:Kidney Int Suppl 27:S269, 1989
9) 倉澤隆平,他:Biomed Res Trace Elements 21:1, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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