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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻4号

2017年04月発行

文献概要

症例報告

肺膿瘍が先行した壊疽性膿皮症の1例

著者: 貞安杏奈1 小松広彦1 渡邉荘子1 澤田美月1 出来尾格1 石崎純子1 田中勝1 藤林真理子2 堀圭二郎3 大塚崇4

所属機関: 1東京女子医科大学東医療センター皮膚科 2東京女子医科大学東医療センター病院病理科 3東京女子医科大学東医療センター形成外科 4永寿総合病院呼吸器外科

ページ範囲:P.330 - P.334

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要約 71歳,女性.初診の2年半前,他院呼吸器外科で肺癌を疑われ右上葉切除術を施行され,病理組織学的に肺膿瘍と診断された.術後創部が哆開,潰瘍化し,半年後当院形成外科を受診した.右腰部より分層植皮術を施行されたが,植皮部,採皮部ともに潰瘍化し拡大したため当科を紹介され受診した.右前胸部,右側胸部から背部,右腰部に類円形ないし帯状の潰瘍局面があり,辺縁部に膿疱が散在していた.病理組織学的所見では真皮浅層から深層にかけて,密な好中球浸潤と炎症細胞浸潤を伴う肉芽組織を形成していた.無菌性肺膿瘍が先行した壊疽性膿皮症と診断した.プレドニゾロン30mg/日内服開始し,改善傾向を呈したため漸減し,シクロスポリン2mg/kg/日内服を追加し略治した.無菌性肺膿瘍が先行した壊疽性膿皮症は稀である.また肺病変の外科的治療と採皮術という,侵襲の大きな部位のみに皮膚病変が生じた症例は自験例のみである.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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