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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻4号

2017年04月発行

文献概要

症例報告

ステロイド吸入剤を契機とし再発を繰り返した顔面カンジダ症の1例

著者: 竹田公信1 坂田祐一1 南部昌之1 牛上敢1 安澤数史1 西部明子1 望月隆1

所属機関: 1金沢医科大学皮膚科学講座

ページ範囲:P.335 - P.338

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要約 74歳,女性.初診約5年前より金属義歯ブリッジを装着.約3年前より気管支喘息のためステロイド吸入剤を使用していた.2013年1月,下顎左側の瘙痒を伴う紅斑を主訴に受診した.紅斑の真菌学的検査により顔面カンジダ症(起因菌:Candida albicans)と診断した.ルリコナゾールクリーム外用で治癒したが,その後3回再発を繰り返した.皮疹の治療と同時にアンホテリシンBシロップによる口腔内のカンジダの除菌を行ったのち,再発は認めていない.下顎,金属義歯ブリッジ部,金属義歯部,舌表面,唾液から検出した5株について25s-ribosomal RNA遺伝子(rDNA)のタイプ分析とITS領域の塩基配列の決定を行ったところ,株間に遺伝子型の差異は認めなかった.以上より,金属義歯部に付着していたカンジダが,ステロイド吸入剤により口腔内で局所的に増殖し,これが下顎に広がったと考えた.

参考文献

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10) 河崎昌子:化療の領域 19:1423, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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