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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻4号

2017年04月発行

文献概要

症例報告

耳介の皮疹,嚥下障害を認めた舌咽,迷走神経領域帯状疱疹の1例

著者: 八代聖1 笠井弘子1 河原由恵1 鈴木成尚2 中嶋緑郎3

所属機関: 1けいゆう病院皮膚科 2けいゆう病院耳鼻咽喉科 3けいゆう病院内科

ページ範囲:P.339 - P.342

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要約 71歳,男性.嚥下困難を主訴に来院した.初診時,左耳甲介に痂皮が付着し,体幹には痂皮化した丘疹が散在していた.上部消化管内視鏡検査にて,咽頭,喉頭,食道壁に白苔を付着し線状に配列するびらんを認め,血清中の水痘帯状疱疹ウイルスIgGは128 index以上であった.神経麻痺を伴う舌咽,迷走神経領域帯状疱疹と診断し,アシクロビル,ステロイド点滴投与を行い,嚥下障害は改善した.耳甲介は耳介の後面から前面に向かう顔面神経支配として知られるが,迷走神経の唯一の体性知覚枝である耳介枝による知覚神経支配も受けている.したがって,耳甲介に皮疹を認める帯状疱疹では,顔面神経麻痺のみならず,嚥下困難や味覚障害,嗄声などの症状を生じうる舌咽・迷走神経麻痺に留意すべきと考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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