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増刊号特集 最近のトピックス2017 Clinical Dermatology 2017 1.最近話題の皮膚疾患
糖尿病治療薬dipeptidyl peptidase-4(DPP-4)阻害薬投与中に発症する水疱性類天疱瘡
著者: 松田真由子1 浅越健治1
所属機関: 1独立行政法人国立病院機構岡山医療センター皮膚科
ページ範囲:P.10 - P.15
文献購入ページに移動近年,国内外で糖尿病治療薬のdipeptidyl peptidase-4(DPP-4)阻害薬を内服中に発症した水疱性類天疱瘡(bullous pemphigoid:BP)の報告が散見される.これを受け,DPP-4阻害薬の一部では添付文書の改訂もなされた.当院において,DPP-4阻害薬が本邦で発売された2009年12月〜2015年11月に受診したBP症例34例について検討したところ,そのうち9例がDPP-4阻害薬を内服中に発症していた.BPも糖尿病も高齢者に多い疾患であることから偶発している可能性も否定できないが,この発症頻度は糖尿病の有病率よりも高かった.糖尿病患者におけるDPP-4阻害薬の内服頻度は高く,本剤内服中に発症するBP患者の診療機会も増加すると予想される.BPを診療する際には,詳細な服薬歴の聴取が必要である.現時点ではまだその関連性や発症機序は明らかになっておらず,今後の解明が望まれる.
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