文献詳細
増刊号特集 最近のトピックス2017 Clinical Dermatology 2017
2.皮膚疾患の病態
文献概要
summary
ロドデノール(英語表記:rhododendrol)の結合を受けたチロシナーゼ蛋白から隠蔽自己抗原ペプチド(cryptic-self peptides)が産生され,これを非自己と誤認したT細胞によってメラノサイトが傷害されるという作業仮説を証明することに成功した.ロドデノールはチロシナーゼに結合し酵素活性を阻害することが知られている.基質が結合した酵素はアロステリック効果によりその高次構造を変化させる.その際,生体内のプロテアーゼが普段は接近できない場所に接近できるようになることで,生理的には存在しないペプチド断片が産生されることがある.そのようなペプチドは隠蔽自己抗原として自己免疫病を誘導しうると考えた.さらにマウスを用いた研究によりロドデノールとX線照射処理したマウスメラノーマ細胞(B16)を反復免疫することにより担癌マウスに効率的に抗腫瘍免疫を誘導できることを証明した.
ロドデノール(英語表記:rhododendrol)の結合を受けたチロシナーゼ蛋白から隠蔽自己抗原ペプチド(cryptic-self peptides)が産生され,これを非自己と誤認したT細胞によってメラノサイトが傷害されるという作業仮説を証明することに成功した.ロドデノールはチロシナーゼに結合し酵素活性を阻害することが知られている.基質が結合した酵素はアロステリック効果によりその高次構造を変化させる.その際,生体内のプロテアーゼが普段は接近できない場所に接近できるようになることで,生理的には存在しないペプチド断片が産生されることがある.そのようなペプチドは隠蔽自己抗原として自己免疫病を誘導しうると考えた.さらにマウスを用いた研究によりロドデノールとX線照射処理したマウスメラノーマ細胞(B16)を反復免疫することにより担癌マウスに効率的に抗腫瘍免疫を誘導できることを証明した.
参考文献
1) Nishigori C, et al:J Dermatol 42:113, 2015
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