文献詳細
増刊号特集 最近のトピックス2017 Clinical Dermatology 2017
3.新しい検査法と診断法
皮膚筋炎特異抗体(抗MDA5抗体,抗TIF1-γ抗体,抗Mi-2抗体)
著者: 室慶直1
所属機関: 1名古屋大学大学院医学系研究科皮膚結合組織病態学分野
ページ範囲:P.62 - P.65
文献概要
炎症性筋疾患の中で多発性筋炎および皮膚筋炎に関しては,患者血清中の自己抗体の解析が近年飛躍的に進み,いわゆる疾患マーカー自己抗体がいくつも同定されてきた.その中でも,抗MDA5抗体,抗Mi-2抗体と抗TIF1-γ抗体は多発性筋炎よりも皮膚筋炎との関連が強く,さらには,これら3つの自己抗体は皮膚筋炎の臨床サブセットと深く関係している.抗MDA5抗体は,筋症状は乏しいものの急速進行性の間質性肺炎を合併するタイプと,抗TIF1-γ抗体は,小児皮膚筋炎もしくは悪性腫瘍合併の成人皮膚筋炎と,抗Mi-2抗体は合併病態に乏しい生命予後が良好なタイプと関連する.2016年の10月にELISA法によるこれら抗体の測定が保険収載された.3種の自己抗体の臨床的意義や測定の保険上の制約について,よく理解したうえで効率よく検査を施行することが望まれる.
参考文献
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