文献詳細
増刊号特集 最近のトピックス2017 Clinical Dermatology 2017
5.皮膚科医のための臨床トピックス
文献概要
summary
通常量の1種類の抗ヒスタミン薬で効果不十分な慢性蕁麻疹には,抗ヒスタミン薬の変更・増量のほか各種補助的治療薬が,さらに重症難治例にはステロイドやシクロスポリンなどの副作用のリスクの高い治療薬が用いられる.オマリズマブは,IgEのCε3ドメインに結合して受容体への結合を阻害する抗IgE抗体で,まず喘息に合併した寒冷蕁麻疹における有効例が報告され,その後各種蕁麻疹の病型に対する有効性が報告された.2014年には欧米で慢性蕁麻疹に対する適用が認められ,2016年には日韓合同の臨床治験が行われ,2017年春にはわが国でも保険適用が認められる見通しにある.刺激誘発型の蕁麻疹に対する保険適用はなく,高価である,効果発現までの期間には個人差があり,無効例もあるなど,残された課題もあるが,これまでの報告を見る限り効果と安全性は高く,今後,わが国における蕁麻疹診療が大きく変貌する可能性がある.
通常量の1種類の抗ヒスタミン薬で効果不十分な慢性蕁麻疹には,抗ヒスタミン薬の変更・増量のほか各種補助的治療薬が,さらに重症難治例にはステロイドやシクロスポリンなどの副作用のリスクの高い治療薬が用いられる.オマリズマブは,IgEのCε3ドメインに結合して受容体への結合を阻害する抗IgE抗体で,まず喘息に合併した寒冷蕁麻疹における有効例が報告され,その後各種蕁麻疹の病型に対する有効性が報告された.2014年には欧米で慢性蕁麻疹に対する適用が認められ,2016年には日韓合同の臨床治験が行われ,2017年春にはわが国でも保険適用が認められる見通しにある.刺激誘発型の蕁麻疹に対する保険適用はなく,高価である,効果発現までの期間には個人差があり,無効例もあるなど,残された課題もあるが,これまでの報告を見る限り効果と安全性は高く,今後,わが国における蕁麻疹診療が大きく変貌する可能性がある.
参考文献
1) Boyce JA:J Allergy Clin Immunol 117:1415, 2006
2) 秀 道広:オマリズマブは慢性特発性蕁麻疹に有効か? 宮地良樹(編).EBM皮膚疾患の治療up-to-date, 中外医学社,p58, 2015
3) Metz M, et al:J Dermatol Sci 73:57, 2014
4) Savage JH, et al:J Allergy Clin Immunol 130:1123. e2, 2012
5) Zhao ZT, et al:J Allergy Clin Immunol 137:1742. e4, 2016
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