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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻6号

2017年05月発行

文献概要

原著

倍数希釈法および自動化法による梅毒血清抗体検査に関する検討

著者: 尾上智彦1 本田まりこ12 中川秀己1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科学講座 2まりこの皮フ科

ページ範囲:P.388 - P.392

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要約 梅毒の診療における自動化法の使用に関する指針の必要性は高まっている.本検討では,倍数希釈法と自動化法の相関性の検討および個々の梅毒症例に関する治療後の抗体価の推移に関する検討を目的とした.梅毒と診断あるいは梅毒を疑われ,自動化法と倍数希釈法を同時に測定されていた血清の抗体価を集積した.倍数希釈法と自動化法の相関性,梅毒の治療前後の抗体価の推移などに関して検討した.18症例52検体の抗体価を解析した.倍数希釈法と自動化法の抗体価は有意な相関性を認めた(r=0.937,p<0.001).単回帰分析の回帰係数は1.57で,切片は−5.08だった.治療前後の抗体価の変化率(治療前の抗体価/治療後の抗体価)の検討では,自動化法の変化率が倍数希釈法のそれに比し大きかった(p<0.02).両方法の抗体価は統計学的に有意な相関性を認めたが,単回帰分析では数値が乖離する可能性も示された.自動化法は倍数希釈法に比べ抗体価の推移を精確に評価できる可能性が示された.

参考文献

1) 国立感染症研究所 感染症疫学センター:感染症週報 18(12):7, 2016
2) Onoe T, et al:J Dermatol 39:355, 2012
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4) 大里和久,他:日性感染症会誌 13:124, 2002
5) 綾部麻香,他:医学と薬学 62:781, 2009
6) 高坂仁美,他:医学検査 57:276, 2008
7) 今川英里,他:日臨検自動化会誌 36:374, 2011
8) Workowski KA, et al:MMWR Recomm Rep 64:1, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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