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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻6号

2017年05月発行

症例報告

下腿潰瘍に合併したパラベンによる接触皮膚炎の1例

著者: 深井恭子1 山口さやか1 大嶺卓也1 山城充士1 眞鳥繁隆1 高橋健造1

所属機関: 1琉球大学大学院医学研究科皮膚病態制御学講座

ページ範囲:P.393 - P.396

文献概要

要約 27歳,女性.オコゼ刺傷による右下腿皮膚潰瘍に対して,ゲーベン®クリームを外用していたが難治のため当科を紹介受診した.潰瘍周囲に紅斑,丘疹が広がり,ゲーベン®クリームの外用を中止したところ,潰瘍部の肉芽形成が良好となり植皮術を行った.術後,顔や植皮部にヒルドイド®ソフト軟膏を外用し,瘙痒が出現していたが不定期に外用を続けていた.約1年後に全身に紅斑が拡大し,再度当科を受診した.パッチテストでは,ゲーベン®クリーム,ヒルドイド®ソフト軟膏,これらに共通した添加物であるパラベンが陽性だった.自験例では,最初の接触皮膚炎の診断時に原因成分までは特定しなかったため,パラベン含有薬剤の外用を継続し経過が長期化した.パラベンは身近な医薬品,化粧品に数多く含まれており,難治性の皮膚炎や皮膚潰瘍では,パラベン類へのアレルギーも念頭に置きたい.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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