icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻6号

2017年05月発行

症例報告

胃癌を合併しヨウ化カリウムが奏効した多中心性細網組織球症の1例

著者: 齋藤友紀1 林周次郎1 山内瑛1 神永朋子1 濱﨑洋一郎1 籏持淳1

所属機関: 1獨協医科大学病院皮膚科

ページ範囲:P.429 - P.433

文献概要

要約 65歳,男性.初診の1か月前より手指の結節と四肢の関節痛が出現した.初診時,両手指に圧痛を伴う大豆大の多発性結節と全身の関節痛があった.手指結節部から施行した皮膚生検ですりガラス様細胞質を有する大型の組織球様細胞を多数認め,それらの細胞はCD68が陽性で,CD1aとS100蛋白は陰性であった.臨床所見および病理組織所見より多中心性細網組織球症(multicentric reticulohistiocytosis:MR)と診断した.また,全身精査で胃癌の合併を認めた.ヨウ化カリウム600mg/日の内服を開始し,3か月後に皮疹は平坦化した.胃癌に対しては,患者の意向により治療は行っていない.本症はこれまで205症例の本邦報告例があり,そのうち胃癌を含めた消化器系の癌は7例あった.悪性腫瘍を合併したMRは悪性腫瘍の治療によりMRも軽快することが多いが,自験例においては悪性腫瘍を治療せずMRの軽快を認め,ヨウ化カリウムがMRに有効である可能性を示唆された.

参考文献

1) Goltz RW, Layman CW:Arch Dermatol Syph 69:717, 1954
2) 小岩克至,他:皮膚臨床 54:549, 2012
3) 岸本和裕,柳堀浩克:臨皮 59:986, 2005
4) 金地研二,他:日網内系会誌 20:112, 1980
5) 広田千治,他:Gastroenterol Endsc 32:993, 1990
6) 田崎和洋,他:日網内系会誌 30:183, 1990
7) 高木紀美代,他:日産婦東京会誌 41:363, 1992
8) 湊原一哉,他:西日皮膚 64:644, 2002
9) 佐藤正隆,他:日皮会誌 115:1658, 2005
10) 上田智恵子,他:日皮会誌 121:197, 2011
11) 村井五月,他:日皮会誌 121:611, 2011
12) 菊池信之,他:日皮会誌 121:1626, 2011
13) 西本周平,他;日皮会誌 122:112, 2012
14) 高橋 綾,他:日皮会誌 122:2341, 2012
15) 林 伸一,他:日病会誌 103:351, 2014
16) 永瀬浩太郎,他:西日皮膚 77:175, 2015
17) 酒井大輔,他:皮膚臨皮 53:895, 2011
18) 奥村優香,他:皮膚臨床 54:553, 2012
19) 林周次郎,他:皮病診療 34:500, 2012
20) Collins SL, et al:Pain 72:95, 1997
21) Blidberg K, et al:Respirology 17:854, 2012
22) 福井眺万,他:臨皮 66:695, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら