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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻6号

2017年05月発行

症例報告

自然消退を認めた毛包向性菌状息肉症の1例

著者: 平塚理沙1 中村元泰1 関東裕美1 石河晃1

所属機関: 1東邦大学医学部皮膚科学講座

ページ範囲:P.439 - P.443

文献概要

要約 64歳,女性.2か月前から増大する,人中左側の結節を主訴に当科を受診した.初診時,人中左側に境界明瞭でドーム状に隆起する27×22mmの弾性やや軟の淡紅色結節がみられた.血液検査では異常所見はなかった.病理組織学的に真皮毛包周囲を中心に,密なリンパ球様細胞の増殖がみられた.一部で毛包内にも浸潤していたが,表皮内浸潤はみられなかった.これらの細胞は,CD3陽性,CD4>CD8陽性であった.T細胞受容体遺伝子再構成が陽性であったことから,毛包向性菌状息肉症(T3N0M0,stage ⅡB)と診断した.結節は,諸検査の結果を待つ間に,無治療で平坦化する傾向がみられていた.顔面全体にナローバンドUVB療法を開始し同部の結節は完全に消退に至ったが,照射野内の耳前部,頰部に浸潤を触れる紅斑が新生した.以上の経過より人中部の結節は自然消退と考えた.毛包向性菌状息肉症の自然消退はこれまで報告がなく稀と思われた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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