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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻7号

2017年06月発行

文献概要

症例報告

γグロブリン大量療法で皮疹の改善がみられたthymoma-associated multiorgan autoimmunityの1例

著者: 菅野恭子1 梅影香央理1 林圭1 飯沼晋1 小松成綱1 堀仁子1 本間大1 山本泰司2 山本明美1

所属機関: 1旭川医科大学皮膚科学講座 2旭川医科大学内科学講座循環呼吸神経病態内科学分野

ページ範囲:P.495 - P.500

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要約 42歳,男性.初診の1か月前から体幹部に紅色皮疹が出現し四肢に拡大した.10年前から浸潤性胸腺腫があり化学療法を施行されていた.病理組織像で表皮上層の個細胞角化とリンパ球の表皮内浸潤がみられ,浸潤する細胞の多くはCD8陽性T細胞であった.胸腺腫の既往と移植片対宿主病(graft versus host disease:GVHD)様の皮膚症状,肝障害からthymoma-associated multiorgan autoimmunity(TAMA)と診断した.合併症の重症筋無力症の治療にγグロブリン大量療法(intravenous immunoglobulin:IVIG)を施行したところ皮膚症状の改善をみたが,その後消化器症状が出現した.ステロイドパルス療法およびステロイドの増量で改善したが,胸腺腫に対する化学療法を開始したところ侵襲性肺アスペルギルス症を発症し永眠された.TAMAは制御性T細胞が減少しGVHD様の症状がみられるが,確立した治療法がなく,免疫抑制治療による感染症で死亡する例が多い.自験例ではIVIGで皮疹の改善がみられ,ある一定の効果が得られたことから,考慮されるべき治療法と考えた.

参考文献

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7) 松岡賢市:臨床血液 55:670, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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