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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻7号

2017年06月発行

文献概要

症例報告

7年間の経過観察中に有棘細胞癌を発症した口唇部扁平苔癬の1例

著者: 齊藤優子1 川北梨乃1 大井裕美子1 佐々木優1 吉田哲也1 佐藤友隆2 落合博子3 福田知雄1

所属機関: 1独立行政法人国立病院機構東京医療センター皮膚科 2北里研究所病院皮膚科 3独立行政法人国立病院機構東京医療センター形成外科

ページ範囲:P.511 - P.514

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要約 64歳,女性.下口唇のびらんで当科初診した.皮膚生検を行ったところ扁平苔癬様の帯状の炎症性細胞浸潤に加え,一部に日光角化症を疑わせる細胞異型を認めた.臨床と併せ,扁平苔癬として7年間経過観察を行った.その間びらんは軽快,増悪を繰り返した.改めて原因検索として行ったパッチテストでパラジウムに対する陽性所見が得られたため,近医歯科に金属除去を依頼した.歯科治療前から下口唇びらん部に隆起傾向がみられたが,金属除去を予定していたため,そのまま経過観察していた.しかし,金属除去後も隆起傾向が続いたため再生検を施行,有棘細胞癌の所見を確認した.病理検査で細胞異型を認める扁平苔癖の場合は高率にmalignant transformationが起こる可能性があり,また自験例のように長期間経過してからのmalignant transformationの報告もあるため,長期間の注意深い経過観察が重要であると考える.

参考文献

1) Ikeda N, et al:Commyunity Dent Oral Epidermiol 19:160, 1991
2) Shirasuna, et al:Oral Sci Int 11:1, 2014
3) van der Meij EH, et al:J Oral Pathol Med 32:507, 2003
4) Casparis S, et al:Oral Maxillofac Surg 19:149, 2015
5) 鹿島光司,他:口腔腫瘍 6:238, 1994
6) 後藤満雄,他:愛知学院大歯会誌 51:491, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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