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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻7号

2017年06月発行

文献概要

症例報告

慢性型頸部放線菌症の1例

著者: 中島聡子1 宮下梓1 新森大佑1 神人正寿1 尹浩信1 山下直子2

所属機関: 1熊本大学大学院生命科学研究部皮膚病態治療再建学分野 2にしくまもと病院皮膚科

ページ範囲:P.528 - P.532

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要約 65歳,男性.基礎疾患に糖尿病と歯槽膿漏あり.当科初診の約1か月前に前頸部の腫脹・硬結・疼痛が出現,37℃台の微熱を伴った.近医を受診し,抗菌薬を内服したが難治であったため当科を紹介され受診した.頸部造影CTで左胸鎖乳突筋周囲に増強効果を伴う軟部影を認め,皮下膿瘍が疑われた.皮膚生検の結果,HE染色で菌塊を認め,Grocott染色陽性,Ziehl-Neelsen染色陰性であり,放線菌症と診断した.入院の上切開排膿を行い,連日の洗浄およびカルバペネム系抗菌薬点滴を開始し,診断後はペニシリン系抗菌薬を内服し症状は軽快した.放線菌症の診断は,抗菌薬の頻用のため培養での検出率は高くなく,病理組織や特殊染色の診断における有用性を再確認した.

参考文献

1) 森脇計博,他:日耳鼻会報 103:1238, 2000
2) 服部尚子,三上 襄:Derma 127:71, 2007
3) 五ノ井透,三上 襄:Derma 148:65, 2009
4) 本間博臣,他:頭頸部外科 22:209, 2012
5) 馬場千晶,他:臨皮 58:204, 2004
6) 三上 襄:真菌誌 48:186, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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