文献詳細
症例報告
文献概要
要約 68歳,女性.10日前より発作性心房細動の診断でピルシカイニド(サンリズム®),アピキサバン,ベラパミルを内服中であった.全身にターゲット状の滲出性紅斑と口唇のびらん,発熱を認め多形紅斑と診断した.3剤のリンパ球刺激試験を施行し,ピルシカイニドのみが陽性であったことから被疑薬と判断した.ピルシカイニドはVaughan Williams分類においてIc群に分類される抗不整脈薬である.1991年より本邦で発売となり頻脈性不整脈の治療に使用されている.われわれの調べえた限り本邦においてピルシカイニドによる多形紅斑型薬疹の報告はなかった.ピルシカイニドは薬疹の報告がきわめて少ない薬剤であるが,薬疹の被疑薬として鑑別する必要がある.
参考文献
1) 児玉逸雄,他:不整脈薬物治療に関するガイドライン 2009年改訂版,日本循環器学会,p60, 2009
カプセル医薬品インタビューフォーム 第11版,p31, 2015
3) 高畠利一,他:薬理と治療 17:3195, 1976
4) 高橋雅之,他:心臓 46:723, 2014
5) 清水賢巳,他:薬理と治療 22:3717, 1994
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