icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻8号

2017年07月発行

症例報告

遠隔転移判明後約2年間QOLを維持できたMerkel細胞癌の1例

著者: 刑部全晃1 横山智哉1 尾本陽一1 波部幸司1 山中恵一1 水谷仁1

所属機関: 1三重大学医学部附属病院皮膚科学講座

ページ範囲:P.611 - P.615

文献概要

要約 81歳,女性.約6年前に右臀部結節を自覚,近医にて切除後,病理組織検査にて悪性腫瘍を疑われ当院を紹介され受診した.Merkel細胞癌と診断し拡大切除および右鼠径リンパ節郭清,術後放射線療法を実施した.約2年前に左腎から膵に浸潤する腫瘍を認め転移と診断,同部位に放射線照射を行い,腎機能を考慮しプラチナ系製剤の使用を控え,タキサン系製剤を化学療法として選択した.新たな転移巣に対し適宜放射線療法を併用しながら,ドセタキセルを約10か月投与,その後パクリタキセルを約11か月投与し緩和治療へ移行した.緩和治療へ移行するまでの間,患者のQOLを大きく損なうことなく治療継続が可能であった.Merkel細胞癌は進行例での治療法は確立されていないが,患者の身体状況に合わせたレジメン,集学的治療が重要と考える.

参考文献

1) 鈴木啓之,他:最新皮膚科学大系,13巻,中山書店,p27, 2002
2) 柴山慶継,他:Skin Cancer 26:174, 2011
3) 畠山真弓,他:Skin Cancer 26:179, 2011
4) 森 志朋,他:臨皮 69:678, 2015
5) Iyer JG:Cancer Med 5:2294, 2016
6) 齊藤明充,他:Skin Cancer 27:373, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら