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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科71巻9号

2017年08月発行

雑誌目次

連載 Clinical Exercise・120

Q考えられる疾患は何か?

著者: 籏持淳

ページ範囲:P.665 - P.666

症例
患 者:26歳,男性
主 訴:発熱,四肢遠位部の紫斑
家族歴:特記すべきことなし.
既往歴:小児喘息,花粉症
現病歴:初診の5日前,四肢に小紅斑が多発し,翌日,38.7℃の発熱をみた.翌日には,近医内科を受診し,解熱剤を処方された.初診の2日前,四肢遠位部に紫斑が出現し,徐々に拡大したため,当科を初診,入院した.
初診時現症:全身倦怠感を訴え,全身に軽度の瘙痒感があった.体温は39.2℃で体幹に米粒大までの浸潤を触れる紅斑を認め,一部融合していた.両前腕から手背にかけて(図1a),さらに両下腿から足背にかけても点状の紫斑が融合していた.足関節には,浮腫性紅斑を認めた(図1b).関節痛はなく,紫斑部に一致した疼痛,倦怠感を認めた.

症例報告

ロサルタンカリウム(ニューロタン®)による扁平苔癬型薬疹の1例

著者: 冲永昌悟 ,   田中隆光 ,   原藤緑 ,   多田弥生 ,   大西誉光 ,   渡辺晋一

ページ範囲:P.669 - P.674

要約 63歳,男性.約10年前から高血圧症のため,アムロジピンベジル酸塩とロサルタンカリウムを内服していた.6か月前から体幹に自覚症状のない皮疹が出現し,徐々に拡大した.5か月前からステロイド外用したが改善しないため,当科を受診した.下腹部,両側腹部,腰背部,仙骨部に手掌大までの暗紫紅色調の紅斑が散在し,両側胸部から季肋部にかけて母指頭大までの浮腫性紅斑が30個程度みられた.組織像では,表皮突起が鋸歯状に延長し,真皮乳頭部にリンパ球主体の炎症細胞が帯状に浸潤し,基底層の空胞変性を認めた.扁平苔癬型薬疹の可能性を考え,ロサルタンカリウム内服を中止.約50日で皮疹は色素沈着となった.内服誘発試験を施行し,37日目に腰背部に新生紅斑が出現.組織像は初回生検時の組織像と類似し,ロサルタンカリウムにより誘発された扁平苔癬型薬疹と診断した.内服開始から約10年後に,発症する扁平苔癬型薬疹もあり注意が必要と考える.

グルカゴノーマに伴う壊死性遊走性紅斑の1例

著者: 棟田加奈子 ,   端本宇志 ,   渡邊憲 ,   林理華

ページ範囲:P.675 - P.680

要約 55歳,男性.2010年頃から搔痒を伴う紅斑を自覚し,軽快と再燃を繰り返した.2014年7月に腹痛を主訴に内科を受診し,グルカゴノーマと診断されたが,その後通院を自己中断していた.2015年3月当院へ紹介受診となり,臀部・大腿部・下腿に境界明瞭な色素沈着と数珠状に痂皮が付着した紅斑を認めた.血液検査でグルカゴン高値とアミノ酸欠乏を認め,グルカゴノーマに付随する壊死性遊走性紅斑と診断した.近年の壊死性遊走性紅斑の症例報告は胃切除後の低栄養や肝硬変,摂食障害など低栄養状態に関連するものが多い.これらの症例と比べて,グルカゴノーマに付随する壊死性遊走性紅斑の症例ではアミノ酸低値が顕著で,症状が全身に及ぶ例が多く,舌炎の合併が多い.栄養障害に伴う症例ではほぼ亜鉛欠乏が必発で,症状が四肢に限局するものが半数を超えるといった差異がみられた.

ゴリムマブ投与により乾癬/掌蹠膿疱症様皮疹を生じた関節リウマチの1例

著者: 宮下奈月 ,   宮川史 ,   小川浩平 ,   小豆澤宏明 ,   浅田秀夫

ページ範囲:P.681 - P.685

要約 63歳,女性.関節リウマチに対し初診の約6か月前よりTNF-α阻害薬であるゴリムマブ50mg/4週の皮下注射を開始した.注射開始後約5か月目より頭皮,手掌に膿疱が出現し,その1週間後より体幹,四肢に鱗屑および膿疱を伴う紅斑が出現した.病理組織像にて表皮の乾癬様肥厚と角層下膿疱を認め,TNF-α阻害薬のparadoxical reactionによって生じた乾癬/掌蹠膿疱症様皮疹と考え,ゴリムマブを中止した.カルシポトリオール水和物/ベタメタゾンジプロピオン酸エステル配合外用剤にて軽快した.ゴリムマブによる乾癬様皮疹の報告は自験例が本邦初である.海外の報告例とあわせ,現在4例の報告があるが,その全例で掌蹠病変を認めている.他のTNF-α阻害薬においても掌蹠病変があるが,ゴリムマブでは特に掌蹠病変を生じやすいのかもしれない.今後の症例の蓄積が待たれる.

家族性地中海熱に合併した血管炎の1例

著者: 山本真有子 ,   中島喜美子 ,   公文義雄 ,   右田清志 ,   佐野栄紀

ページ範囲:P.687 - P.691

要約 52歳,女性.妹に家族性地中海熱がある.小児期より繰り返す発熱発作と胸痛のエピソードがあり,成人後に関節痛を繰り返していた.MEFV遺伝子のエクソン2にp.E148Qの変異をヘテロで認め,家族性地中海熱と診断され,コルヒチン内服により関節痛や発熱発作はコントロールされていた.6年前から下腿に数日で消退する紫斑が出没するようになった.病理組織像では真皮浅層から中層の小血管のフィブリノイド変性と血管壁にリンパ球を主体とした炎症細胞浸潤を認めた.血管壁に免疫グロブリンの沈着は認めなかった.血管周囲の浸潤細胞は細胞質にIL-1βを発現していたことから,MEFV遺伝子変異により過剰に産生されたIL-1βが血管炎の発症に関与していると考えられた.

足趾に孤発した大型伝染性軟属腫の1例—発生母地による臨床像の差異

著者: 西野洋輔 ,   川本友子 ,   廣畑彩希 ,   坂本幸子 ,   池上隆太

ページ範囲:P.692 - P.696

要約 51歳,女性.初診の約4か月前から右第4趾背側に結節を自覚,徐々に増大したため当科を受診した.12×11mmの淡紅色の表面粗糙で部分的に角化を伴う広基性結節を認めた.病理組織学的に,表皮が陥凹する囊腫状構造を認め,軟属腫小体も確認されたことから伝染性軟属腫と診断した.結節は部分生検の30日後に自然消退した.成人に生じた大型(10mm以上)で孤発性の本邦例は,自験例と同様,いずれも被刺激部位に発症していた.また臨床的には中央臍窩が明瞭でなく,病理組織学的に多数の表皮陥凹が腫瘍表面に集簇する構造であることも共通していた.典型的な臨床像を示さず,成人に孤発・大型化したものは,臨床診断が困難な場合が多い.

CD34陽性であった軟部神経周膜腫の1例

著者: 岩田昌史 ,   川端紀子 ,   長谷川匡 ,   杉田真太朗

ページ範囲:P.697 - P.700

要約 16歳,男性.2年前より左上腕近位外側に皮下腫瘤を自覚し,3cm大まで徐々に増大したため受診した.マージンなしで被膜ごと腫瘤を切除した.病理組織像では異型の乏しい類円形の腫大した核を持つ紡錘形細胞が花筵状に増殖しており,周囲は線維性偽被膜で覆われていた.紡錘形細胞はCD34陽性,S100蛋白陰性,EMA一部陽性であり腫瘤型隆起性皮膚線維肉腫を疑い追加切除を実施した.その後FISH法でPDGFB split signalは検出されず,NF2 signalの欠失,モノソミーを認めたことから軟部神経周膜腫と確定診断した.CD34陽性の紡錘形細胞が花筵状に増殖する腫瘍では,時に隆起性皮膚線維肉腫と神経周膜腫の鑑別が困難な場合がある.HE染色像,免疫染色像,遺伝子検査から総合的に診断していく必要がある.

びまん性紅斑を初発症状として呈したintravascular large B-cell lymphomaの1例

著者: 鈴木重行 ,   角田三郎 ,   北條洋 ,   江川雅巳

ページ範囲:P.701 - P.704

要約 80歳,男性,軀幹に広範囲の紅斑が生じ,血液検査にてLDH上昇と可溶性IL-2レセプター高値から悪性リンパ腫が疑われた.皮膚生検にて,真皮血管内にCD20陽性のリンパ球様大型細胞を認めintravascular large B-cell lymphoma(IVL)と診断した.治療は50% dose CHOPを1クール施行し,2クール目からはリツキサンを追加し合わせて6クール施行した.治療後に紅斑は消失した.IVLの臨床像として紅斑,毛細血管拡張,皮膚浸潤,皮下硬結,紫斑,腫瘤が認められるが,広範囲な紅斑も本症の皮膚症状として呈しうると思われ報告する.

上大静脈症候群に伴う顔面の腫脹を契機に胸腺癌が発見された1例

著者: 藤原千紗子 ,   茂木精一郎 ,   石川治

ページ範囲:P.705 - P.708

要約 64歳,女性.初診2か月前から上眼瞼から頰部にかけての腫脹を自覚し,内科を複数受診したが原因不明として経過観察されていた.近医皮膚科で白血球増多,抗核抗体陽性,CRP軽度上昇が認められたため,膠原病を疑われ当科を紹介され受診した.初診時,両側上眼瞼と頰部に腫脹があり,淡紅色調を呈していた.手指尖端にわずかに角化がみられた.皮膚筋炎を疑い悪性腫瘍,間質性肺炎の検索目的にFDG-PET検査,胸部CT検査を行ったところ胸腺癌が発見され,顔面の腫脹は上大静脈症候群によるものと診断した.顔面の持続性浮腫・紅斑を主訴とする患者を診療する場合には,上大静脈症候群も念頭に置いて精査する必要があると考えた.

頭部結節によって発見された腎細胞癌の1例

著者: 大矢和正 ,   田口詩路麻 ,   上村舞衣 ,   佐々木正浩 ,   島居徹

ページ範囲:P.709 - P.713

要約 86歳,女性.初診の10日前から生じた自覚症状のない頭部の皮下結節を主訴に当科受診.右後頭部に弾性軟で,拍動のない20mm大の腫瘤を認めた.精査希望せず初診から5か月後に,さらに結節の増大を認め受診した.右後頭部に弾性軟で,境界明瞭な一部血痂を伴う拍動のない浸潤性暗赤色局面を認め,皮疹内に10mm大のドーム状結節を2つ伴っていた.頭部血管肉腫などを疑い,一部皮膚生検施行した後,手術を計画したが,術前CTで左腎に93mm大の腫瘤と,両肺・甲状腺等に転移を疑う小結節を認めた.生検病理組織では,淡明な異型細胞の胞巣を認め,免疫組織染色と併せて腎細胞癌の頭部皮膚転移と診断した.手術は中止し年齢を考慮し,緩和ケアの方針となった.しかし腫瘤の増大と出血による貧血が進行し,形成外科にて切除および皮弁形成術を施行された.頭部に出現した結節では腎細胞癌の鑑別を念頭に置く必要がある.また高年齢の患者に生じた転移性皮膚癌であっても,quality of lifeを考慮し初期に切除を検討すべきであったと反省した.

リンパ浮腫患者にみられる血液培養でB群溶連菌が検出された蜂窩織炎の1例—当教室例のretrospectiveな解析を含めて

著者: 下田由莉江 ,   堀江千穂 ,   早川順 ,   塩原哲夫

ページ範囲:P.715 - P.719

要約 75歳,女性.4年前に子宮体癌で子宮全摘と,リンパ節郭清術を施行され,1年後にリンパ浮腫を生じ,その2年後に左大腿蜂窩織炎と化膿性椎間板炎を発症した.B群溶連菌(group B Streptococcus:GBS)が血液と腟から検出されたが,蜂窩織炎自体は約1週間で軽快した.しかし,10か月後に同部に再発し当科に入院した.その際,腟からGBSが検出された.自験例を含む当教室例における,郭清後のリンパ浮腫患者に生じ,培養でGBSが検出された蜂窩織炎の特徴をまとめた.多くは急速な発熱とともに大腿部に発赤を生じ,それが遠心性に拡大し,血液と腟からGBSが検出される.治療により速やかに軽快するが再発を繰り返し,ASOの変動がない点が特徴と考えた.このような症例では,会陰部,陰部などに慢性の感染病巣が隠れている可能性があるため,必ず会陰部や臀部の診察も併せて行い,何らかの感染巣が潜んでいないかを見落とさないことが重要である.

両下肢の高度な腫脹を伴い急速に進行したAIDS関連Kaposi肉腫の1例

著者: 海野俊徳 ,   増渕雄 ,   細尾麻衣 ,   渡辺正秀 ,   久保仁美

ページ範囲:P.720 - P.726

要約 38歳,日本人男性.HIV感染を指摘されてから8年後に,両下肢の浮腫および多数の結節性病変が下肢に生じ,体幹や顔面などには暗紅褐色斑が出現した.両下肢の腫脹は比較的急速に進行し,歩行にも支障をきたすようになり当院を受診した.広範囲の皮膚病変,口蓋病変,および肺の結節は生検および画像診断からKaposi肉腫と診断し,ART療法(antiretroviral therapy)および化学療法(リポソーム化ドキソルビシン)を施行した.その後ART療法のみ継続しているが,肺の結節性病変は概ね著変なく,顔面や体幹四肢の病変の一部は消退したものもある.Kaposi肉腫で両下肢の腫脹が急速に進行する症例の報告は稀である.臨床的に過角化がみられる場合にリンパ浮腫を伴うことが多いとされ,機序としては,HHV8がリンパ節や内皮細胞に感染しリンパ液の排出障害を生じるためと推論されている.

自己免疫性膵炎治療中に生じたMycobacterium chelonae皮膚感染症の1例

著者: 箕輪智幸 ,   栁澤健二 ,   加賀谷真起子 ,   髙橋博之 ,   後藤田裕子

ページ範囲:P.727 - P.731

要約 90歳,男性.自己免疫性膵炎に対し2001年よりプレドニゾロン内服中であった.当科初診の半年前から左頰部に複数の紅色結節を自覚した.診断目的で1か所を局所麻酔下で切除した.病理組織像では真皮全層に結節状の炎症細胞浸潤を認め,結節内の小空胞とその周辺組織にZiehl-Neelsen染色で染色される桿菌を多数認めたが,組織片からの抗酸菌培養は陰性であった.その後,切除部位を含め周囲の病変はすべて自然消退したため経過観察とした.しかし3か月後に右頰部に同様の紅色結節が出現し,切除病変は左頰部と同様の病理組織像を呈し,抗酸菌培養が陽性,DNA-DNA hybridization法によりMycobacterium chelonaeと同定した.自然消退した経過と年齢などを考慮し抗菌薬内服を行わなかったが切除後7か月経過時点で再発は認めていない.多発病変であっても長期の多剤併用療法が難しい高齢者においては外科的切除が有効な選択肢になりうると思われた.

肺炎球菌による両下肢の壊死性軟部組織感染症の1例

著者: 平川佳葉子 ,   梅田直樹 ,   森川博文 ,   櫻谷正明 ,   平田旭

ページ範囲:P.733 - P.738

要約 69歳女性.発熱と呼吸苦のため当院を救急受診した.画像上肺炎を認め,尿中肺炎球菌抗原陽性であることから,肺炎球菌性肺炎として入院加療が行われた.入院翌日に,右下肢の腫脹と左足底部の血疱,紫斑が出現したため,当科に紹介され入院した.左足底部の血疱および血液の塗抹からムコイド型肺炎球菌を検出し,侵襲性肺炎球菌感染症と診断した.徐々に両下肢の壊死が進行したため,全身状態が落ち着いた段階で,右大腿切断と左足根骨レベルでの切断を行った.ムコイド型肺炎球菌の多くは血清型3型であり,大量の莢膜につつまれ,重症化し,死亡率も高いことが知られている.肺炎球菌感染症に伴って今回の症状が出現したことについて,若干の検討を加えてみた.下肢の切断時期や病態解明のためにも,今後のさらなる同様な症例の蓄積が必要と考える.

イトラコナゾールの奏効した皮膚アルテルナリア症の1例

著者: 丸裕吾 ,   永山博敏 ,   鈴木良夫

ページ範囲:P.739 - P.743

要約 64歳,女性.関節リウマチに対しプレドニゾロン(PSL)5mg/日を内服中であった.2012年3月から鼻根部に紅色の皮疹が出現し,徐々に左頰部まで拡大した.2013年4月当科初診時には鼻根部から左頰部にかけて紅色局面を認めた.また鼻尖部には境界不明瞭な紅斑,右頰部には紅色丘疹を認めた.組織病理学的に真皮内に類上皮細胞肉芽腫の像を認め,生検組織からの真菌培養では表面は白色毛状で裏面は全体に黄褐色で多数の斑状の黒褐色領域を伴うコロニーが発育した.スライド培養では多数の隔壁を有する棍棒状の分生子を認め,自験例を皮膚アルテルナリア症と診断した.イトラコナゾール100mg/日の内服を開始し皮疹は消退したが,肝機能障害を認めたため内服を比較的短期間で中止した.中止後も皮疹の再燃は認めなかった.

治療

レーザー治療を行った色素失調症の母娘例

著者: 村井信幸 ,   小熊孝 ,   西尾祐美 ,   新保慶輔 ,   野々村秀明

ページ範囲:P.745 - P.750

要約 色素失調症の典型的な皮膚症状であるBlaschko線に沿う色素斑は思春期までに徐々に消退するといわれる.治療は経過観察のみとされていたが成長しても色素斑が残存する場合がある.色素失調症に罹患していた母子それぞれの色素斑に対してQスイッチ付アレキサンドライトレーザーによる治療を行った.初診から6年が経過した現在,母子ともに色素斑は著明に改善しておりレーザー照射が奏効したものと考えられた.渉猟しうる限り色素失調症に伴う色素斑に対する皮膚レーザー治療の報告はなかったが,学校生活で同級生の衆目を集めることなどを考えると就学前のレーザー治療は有効な治療選択肢の1つと考えられた.

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欧文目次

ページ範囲:P.663 - P.663

文献紹介 トファシチニブによる乾癬患者の炎症経路抑制に関する無作為第Ⅱ相試験

著者: 龍神操

ページ範囲:P.726 - P.726

 乾癬はT細胞,樹状細胞を中心とした炎症細胞による炎症とそれに伴うサイトカインの上昇に起因する.Janus kinase(JAK)阻害剤であるトファシチニブは各種第Ⅲ相試験において乾癬に対する有効性が認められているが,その作用機序はいまだ明確でない.今回の第Ⅱ相試験では乾癬の皮膚病変につき組織学・免疫学・遺伝子発現・サイトカイン濃度等を経時的・多角的に分析することで,トファシチニブの乾癬皮膚症状改善におけるメカニズムを解明することを目的とした.
 試験内容として,局面型乾癬患者12名をトファシチニブ内服群9名,プラセボ群3名に分け,内服開始前の無疹部・病変部,内服開始1・3日後,1・2・4・12週後の病変部よりパンチ生検にて皮膚組織を採取した.得られた組織における表皮およびT細胞,樹状細胞を免疫染色により分析し,さらにマイクロアレイを用いてmRNAトランスクリプトームを評価した.

次号予告

ページ範囲:P.751 - P.751

あとがき

著者: 阿部理一郎

ページ範囲:P.754 - P.754

 時代が変わるとヒトも変わる.むしろヒトが変わることが時代を変えているということでしょうか.
 何かで読んだ記事で,コンピューター会社の新入社員にまず研修で教えるのは,キーボードの打ち方だそうです.確かにパソコンがなくてもスマホですべて事足りますので,若い人はキーボードを打てないそうです.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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