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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻9号

2017年08月発行

文献概要

症例報告

ロサルタンカリウム(ニューロタン®)による扁平苔癬型薬疹の1例

著者: 冲永昌悟1 田中隆光1 原藤緑1 多田弥生1 大西誉光1 渡辺晋一1

所属機関: 1帝京大学医学部皮膚科学講座

ページ範囲:P.669 - P.674

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要約 63歳,男性.約10年前から高血圧症のため,アムロジピンベジル酸塩とロサルタンカリウムを内服していた.6か月前から体幹に自覚症状のない皮疹が出現し,徐々に拡大した.5か月前からステロイド外用したが改善しないため,当科を受診した.下腹部,両側腹部,腰背部,仙骨部に手掌大までの暗紫紅色調の紅斑が散在し,両側胸部から季肋部にかけて母指頭大までの浮腫性紅斑が30個程度みられた.組織像では,表皮突起が鋸歯状に延長し,真皮乳頭部にリンパ球主体の炎症細胞が帯状に浸潤し,基底層の空胞変性を認めた.扁平苔癬型薬疹の可能性を考え,ロサルタンカリウム内服を中止.約50日で皮疹は色素沈着となった.内服誘発試験を施行し,37日目に腰背部に新生紅斑が出現.組織像は初回生検時の組織像と類似し,ロサルタンカリウムにより誘発された扁平苔癬型薬疹と診断した.内服開始から約10年後に,発症する扁平苔癬型薬疹もあり注意が必要と考える.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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