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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻9号

2017年08月発行

文献概要

症例報告

グルカゴノーマに伴う壊死性遊走性紅斑の1例

著者: 棟田加奈子1 端本宇志1 渡邊憲1 林理華2

所属機関: 1横浜市立みなと赤十字病院皮膚科 2横浜馬車道皮膚科・ペインクリニック皮膚科

ページ範囲:P.675 - P.680

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要約 55歳,男性.2010年頃から搔痒を伴う紅斑を自覚し,軽快と再燃を繰り返した.2014年7月に腹痛を主訴に内科を受診し,グルカゴノーマと診断されたが,その後通院を自己中断していた.2015年3月当院へ紹介受診となり,臀部・大腿部・下腿に境界明瞭な色素沈着と数珠状に痂皮が付着した紅斑を認めた.血液検査でグルカゴン高値とアミノ酸欠乏を認め,グルカゴノーマに付随する壊死性遊走性紅斑と診断した.近年の壊死性遊走性紅斑の症例報告は胃切除後の低栄養や肝硬変,摂食障害など低栄養状態に関連するものが多い.これらの症例と比べて,グルカゴノーマに付随する壊死性遊走性紅斑の症例ではアミノ酸低値が顕著で,症状が全身に及ぶ例が多く,舌炎の合併が多い.栄養障害に伴う症例ではほぼ亜鉛欠乏が必発で,症状が四肢に限局するものが半数を超えるといった差異がみられた.

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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