icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻9号

2017年08月発行

文献概要

症例報告

頭部結節によって発見された腎細胞癌の1例

著者: 大矢和正1 田口詩路麻1 上村舞衣1 佐々木正浩2 島居徹3

所属機関: 1筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター総合病院水戸協同病院皮膚科 2茨城県立中央病院茨城県地域がんセンター形成外科 3茨城県立中央病院茨城県地域がんセンター泌尿器科

ページ範囲:P.709 - P.713

文献購入ページに移動
要約 86歳,女性.初診の10日前から生じた自覚症状のない頭部の皮下結節を主訴に当科受診.右後頭部に弾性軟で,拍動のない20mm大の腫瘤を認めた.精査希望せず初診から5か月後に,さらに結節の増大を認め受診した.右後頭部に弾性軟で,境界明瞭な一部血痂を伴う拍動のない浸潤性暗赤色局面を認め,皮疹内に10mm大のドーム状結節を2つ伴っていた.頭部血管肉腫などを疑い,一部皮膚生検施行した後,手術を計画したが,術前CTで左腎に93mm大の腫瘤と,両肺・甲状腺等に転移を疑う小結節を認めた.生検病理組織では,淡明な異型細胞の胞巣を認め,免疫組織染色と併せて腎細胞癌の頭部皮膚転移と診断した.手術は中止し年齢を考慮し,緩和ケアの方針となった.しかし腫瘤の増大と出血による貧血が進行し,形成外科にて切除および皮弁形成術を施行された.頭部に出現した結節では腎細胞癌の鑑別を念頭に置く必要がある.また高年齢の患者に生じた転移性皮膚癌であっても,quality of lifeを考慮し初期に切除を検討すべきであったと反省した.

参考文献

1) Lee C, et al:Korean J Pathol 47:426, 2013
2) Weiss L, et al:J Cancer Res Clin Oncol 114:605, 1988
3) Menon AR, et al:Urol Ann 8:377, 2016
4) Inoue H, et al:Hinyokika Kiyo 43:723, 1997
5) Koga S, et al:Anticancer Res 20:1939, 2000
6) Schwartz RA:J Am Acad Dermatol 33:161, 1995
7) 只木行啓,高橋 正:臨皮 41:403, 1987
8) 藤尾往子,他:皮膚 36:835, 1994
9) Porter NA, et al:Int Semin Surg Oncol 3:27, 2006
10) 小野紀子,他:皮膚臨床 52:490, 2010
11) 酒井あかり,他:臨皮 67:1083, 2013
12) 村本睦子,他:臨皮 65:335, 2011
13) Srinivasan N, et al:Am J Med Sci 339:458, 2010
14) Truong LD, Shen SS:Arch Pathol Lab Med 135:92, 2011
15) Skinnider BF, Amin MB:Semin Diagn Pathol 22:51, 2005
16) Allory Y, et al:Histopathology 52:158, 2008
17) Logan JE, et al:Rev Urol 14:65, 2012
18) Patil S, et al:J Urol 188:2095, 2012
19) 柴崎嘉子,他:臨皮 54:78, 2000
20) 冨田善彦,他:臨泌 54:829, 2000
21) Alt AL, et al:Cancer 117:2873, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?