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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻9号

2017年08月発行

文献概要

症例報告

リンパ浮腫患者にみられる血液培養でB群溶連菌が検出された蜂窩織炎の1例—当教室例のretrospectiveな解析を含めて

著者: 下田由莉江1 堀江千穂1 早川順1 塩原哲夫1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.715 - P.719

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要約 75歳,女性.4年前に子宮体癌で子宮全摘と,リンパ節郭清術を施行され,1年後にリンパ浮腫を生じ,その2年後に左大腿蜂窩織炎と化膿性椎間板炎を発症した.B群溶連菌(group B Streptococcus:GBS)が血液と腟から検出されたが,蜂窩織炎自体は約1週間で軽快した.しかし,10か月後に同部に再発し当科に入院した.その際,腟からGBSが検出された.自験例を含む当教室例における,郭清後のリンパ浮腫患者に生じ,培養でGBSが検出された蜂窩織炎の特徴をまとめた.多くは急速な発熱とともに大腿部に発赤を生じ,それが遠心性に拡大し,血液と腟からGBSが検出される.治療により速やかに軽快するが再発を繰り返し,ASOの変動がない点が特徴と考えた.このような症例では,会陰部,陰部などに慢性の感染病巣が隠れている可能性があるため,必ず会陰部や臀部の診察も併せて行い,何らかの感染巣が潜んでいないかを見落とさないことが重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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