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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻9号

2017年08月発行

文献概要

症例報告

両下肢の高度な腫脹を伴い急速に進行したAIDS関連Kaposi肉腫の1例

著者: 海野俊徳1 増渕雄2 細尾麻衣3 渡辺正秀4 久保仁美1

所属機関: 1長野赤十字病院皮膚科 2長野赤十字病院感染症科 3長野赤十字病院口腔外科 4長野赤十字病院病理診断科

ページ範囲:P.720 - P.726

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要約 38歳,日本人男性.HIV感染を指摘されてから8年後に,両下肢の浮腫および多数の結節性病変が下肢に生じ,体幹や顔面などには暗紅褐色斑が出現した.両下肢の腫脹は比較的急速に進行し,歩行にも支障をきたすようになり当院を受診した.広範囲の皮膚病変,口蓋病変,および肺の結節は生検および画像診断からKaposi肉腫と診断し,ART療法(antiretroviral therapy)および化学療法(リポソーム化ドキソルビシン)を施行した.その後ART療法のみ継続しているが,肺の結節性病変は概ね著変なく,顔面や体幹四肢の病変の一部は消退したものもある.Kaposi肉腫で両下肢の腫脹が急速に進行する症例の報告は稀である.臨床的に過角化がみられる場合にリンパ浮腫を伴うことが多いとされ,機序としては,HHV8がリンパ節や内皮細胞に感染しリンパ液の排出障害を生じるためと推論されている.

参考文献

1) 鈴木俊彦,他:臨皮 64:691, 2010
2) 藤澤康弘:日皮会誌 121:3323, 2011
3) 吉田有紀,他:皮膚臨床 50:719, 2008
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5) Grulich AE, et al:AIDS 15:629, 2001
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7) 矢作榮一郎,他:皮膚病診療 34:895, 2012
8) Chang Y, et al:Science 266:1865, 1994
9) Hengge UR, et al:Br J Dermatol 142:501, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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