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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻9号

2017年08月発行

文献概要

症例報告

自己免疫性膵炎治療中に生じたMycobacterium chelonae皮膚感染症の1例

著者: 箕輪智幸1 栁澤健二1 加賀谷真起子1 髙橋博之1 後藤田裕子2

所属機関: 1札幌厚生病院皮膚科 2札幌厚生病院病理診断科

ページ範囲:P.727 - P.731

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要約 90歳,男性.自己免疫性膵炎に対し2001年よりプレドニゾロン内服中であった.当科初診の半年前から左頰部に複数の紅色結節を自覚した.診断目的で1か所を局所麻酔下で切除した.病理組織像では真皮全層に結節状の炎症細胞浸潤を認め,結節内の小空胞とその周辺組織にZiehl-Neelsen染色で染色される桿菌を多数認めたが,組織片からの抗酸菌培養は陰性であった.その後,切除部位を含め周囲の病変はすべて自然消退したため経過観察とした.しかし3か月後に右頰部に同様の紅色結節が出現し,切除病変は左頰部と同様の病理組織像を呈し,抗酸菌培養が陽性,DNA-DNA hybridization法によりMycobacterium chelonaeと同定した.自然消退した経過と年齢などを考慮し抗菌薬内服を行わなかったが切除後7か月経過時点で再発は認めていない.多発病変であっても長期の多剤併用療法が難しい高齢者においては外科的切除が有効な選択肢になりうると思われた.

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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