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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科71巻9号

2017年08月発行

文献概要

症例報告

肺炎球菌による両下肢の壊死性軟部組織感染症の1例

著者: 平川佳葉子1 梅田直樹1 森川博文1 櫻谷正明2 平田旭2

所属機関: 1厚生連廣島総合病院皮膚科 2厚生連廣島総合病院救急・集中治療科

ページ範囲:P.733 - P.738

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要約 69歳女性.発熱と呼吸苦のため当院を救急受診した.画像上肺炎を認め,尿中肺炎球菌抗原陽性であることから,肺炎球菌性肺炎として入院加療が行われた.入院翌日に,右下肢の腫脹と左足底部の血疱,紫斑が出現したため,当科に紹介され入院した.左足底部の血疱および血液の塗抹からムコイド型肺炎球菌を検出し,侵襲性肺炎球菌感染症と診断した.徐々に両下肢の壊死が進行したため,全身状態が落ち着いた段階で,右大腿切断と左足根骨レベルでの切断を行った.ムコイド型肺炎球菌の多くは血清型3型であり,大量の莢膜につつまれ,重症化し,死亡率も高いことが知られている.肺炎球菌感染症に伴って今回の症状が出現したことについて,若干の検討を加えてみた.下肢の切断時期や病態解明のためにも,今後のさらなる同様な症例の蓄積が必要と考える.

参考文献

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8) 谷口隼人,他:日救急医会誌 25:152, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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