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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻1号

2018年01月発行

症例報告

ステロイド貼付剤が誘因と考えられた体部白癬の1例

著者: 櫻木友美子1 澤田雄宇1 佐々木奈津子1 西尾大介1 小林美和1 中村元信1

所属機関: 1産業医科大学皮膚科

ページ範囲:P.13 - P.16

文献概要

要約 69歳,女性.十数年前に心臓疾患に対して外科的治療を施行後,胸部正中の手術創がケロイドとなり,種々のステロイド外用治療を行われた.同部位の治療をフルドロキシコルチドテープに変更した1週間後より貼付部に一致した落屑性紅斑が出現した.ケロイド上に存在する鱗屑をKOH直接鏡検法にて観察したところ糸状菌が存在し,スライドカルチャーにて大分生子を形成していたためMicrosporum canisによる体部白癬と診断した.フルドロキシコルチドテープの中止ならびにルリコナゾールの外用にて2週間で軽快した.貼付剤による密閉環境に加え,ステロイドによる局所の感染抵抗力の低下などが要因と考えられ,使用部位に一致した皮疹をみた際は,接触性皮膚炎のみならず真菌症を鑑別する必要があると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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