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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻1号

2018年01月発行

症例報告

腹筋麻痺と膀胱直腸障害を伴った帯状疱疹の1例

著者: 南里文1 松田光弘1 小野文武2 名嘉眞武国1

所属機関: 1久留米大学医学部皮膚科学教室 2佐曽利ひふ科医院

ページ範囲:P.30 - P.34

文献概要

要約 73歳,男性.3日前より右腰痛,便秘,排尿障害を認め,内科を受診した.腹部CT検査を施行し,右内腹斜筋の膨化を認め,右腰部に紅斑,水疱を認めたため当科を受診した.臨床症状および検査所見より右L1領域の帯状疱疹と診断し,腹筋麻痺,膀胱直腸障害の合併と考えた.アシクロビル点滴静注,プレドニゾロン(PSL内服),α1ブロッカーおよび抗コリンエステラーゼ阻害薬内服,自己導尿,下剤投与を行い,腹筋麻痺と膀胱直腸障害の改善を認めた.帯状疱疹の神経合併症として,自律神経障害,運動神経麻痺が生じることがある.自験例は,L1領域を支配する腸骨下腹神経障害により腹筋麻痺と膀胱直腸障害を合併した稀な症例と考えた.自験例では腹筋麻痺が偶発的に指摘されたが,軽症例では見逃される可能性もある.帯状疱疹は日常診療で遭遇する機会が多いが,自律神経障害,運動神経麻痺を併発しうることに留意して診察する必要がある.

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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