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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻1号

2018年01月発行

文献概要

症例報告

全結腸型潰瘍性大腸炎に合併した好中球性皮膚症に顆粒球吸着療法が著効した1例

著者: 萩原宏美1 岩田洋平1 沼田茂樹1 小林束1 渡邊総一郎1 岩田貴子1 鎌野俊彰2 杉浦一充1

所属機関: 1藤田保健衛生大学医学部皮膚科学 2藤田保健衛生大学医学部消化管内科学

ページ範囲:P.52 - P.56

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要約 36歳,女性.初診1か月前からの複数回の下痢,血便を主訴に近医を受診し大腸内視鏡検査で潰瘍性大腸炎と診断され当院受診した.絶食とプレドニゾロン 50mg/日の点滴で加療中,点滴刺入部に膿瘍が出現し当科を受診した.初診時,点滴刺入部を含め両上肢に多発性の無菌性膿瘍を認めた.病理組織像では,真皮全層性に密な好中球の浸潤を認めた.血液検査ではCRP高値,赤沈の亢進,血清補体価の上昇を認めた.HLA-B51は陰性で,眼科的,神経内科的にBehçet病に合致する所見は認められなかった.以上の臨床像,検査所見より潰瘍性大腸炎に伴った好中球性皮膚症と診断した.顆粒球吸着療法を開始したところ腸炎および皮膚症状は著明に改善し,サラゾピリンの内服で皮膚症状の再燃は認められていない.顆粒球吸着療法は潰瘍性大腸炎に伴った好中球性皮膚症に対して有用な治療選択肢と考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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