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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻1号

2018年01月発行

症例報告

乳癌術後放射線照射部に生じた基底細胞癌

著者: 森志朋1 天野博雄1 赤坂俊英2 馬場由香3

所属機関: 1岩手医科大学皮膚科学講座 2北上済生会病院皮膚科 3盛岡赤十字病院皮膚科

ページ範囲:P.73 - P.76

文献概要

要約 81歳,女性.38歳時に左乳癌に対し乳房切除術,術後に放射線化学療法を受けた.2年前より放射線照射野の左胸部に黒色結節が出現し増大傾向にあるため近医を受診した.病理組織検査で基底細胞癌と判明し当科を紹介され受診した.左胸部の多形皮膚萎縮を来した面上に径15mm大の腫瘤を形成しダーモスコピーではlarge blue-gray ovoid nestsと不規則な血管拡張を認めた.基底細胞癌の多くは顔面に発症し体幹発症は少ないが,今回われわれは43年前の放射線照射野に生じた基底細胞癌の症例を経験した.放射線療法後には種々の二次性悪性腫瘍が発生することが知られているが,皮膚悪性腫瘍は発症までの潜伏期間は非常に長い.二次性の基底細胞癌は継時的に多発し,複数の異なる組織型の皮膚腫瘍が続発することもある.今後自験例のような症例の増加が予想されるため,放射線療法の既往と照射野に生じた皮膚腫瘍に対しわれわれ皮膚科医は積極的に生検や切除を行い,長期にわたり経過をみる必要がある.

参考文献

1) 叶川直哉,他:日臨外会誌 70:3458, 2009
2) 安藤菜緒,他:皮膚病診療 28:463, 2006
3) 飯塚 仁,他:皮膚臨床 48:547, 2006
4) 加瀬佳代子,他:皮膚臨床 31:661, 1989
5) 緒方真貴子,他:臨皮 62:330, 2008
6) 新保慶輔,他:Skin Cancer 22:256, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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