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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻1号

2018年01月発行

文献概要

症例報告

環指の腫脹で指輪抜去に難渋した皮膚リンパ管型Nocardia brasiliensis感染症の1例

著者: 北原博一1 佐藤友隆1 矢口貴志2

所属機関: 1北里大学北里研究所病院皮膚科 2千葉大学真菌医学研究センター

ページ範囲:P.77 - P.82

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要約 78歳,男性.初診3週間前に墓地で転倒し,左手背と顔面に挫創を受傷,クラリスロマイシンを処方されたが,挫創が改善せず当科を受診した.左環指の腫脹が強く,指輪抜去困難であった.左手背および左肘関節内側に発赤と皮下腫瘤を認め,リンパ管に沿って症状が広がっていた.手背から採取した組織培養より放線菌が疑われ,16S rRNA遺伝子の塩基配列からNocardia brasiliensisと同定した.切開排膿の2日後に入院の上ミノサイクリンとレボフロキサシンの投与で症状は改善した.退院時に浮腫で抜去困難であった環指の指輪を外したところ,2日後に症状が再燃し,再度入院加療を要した.抗菌薬に加え,局所温熱療法を施行し退院した.土壌での挫創を契機に皮膚リンパ管型スポロトリコーシス様のリンパ管炎を伴う症例では,皮膚ノカルジア症も考え,皮膚生検と培養が重要である.また治療を妨げる器具は,早期に除去すべきと考える.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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