icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻10号

2018年09月発行

文献概要

症例報告

Spindle cell lipomaの3例

著者: 沢辺優木子12 田中隆光1 生野由起1 深谷早希1 林耕太郎1 大西誉光1 直海明里2 尾松淳2 三井浩2 渡辺晋一1 多田弥生1

所属機関: 1帝京大学医学部皮膚科学講座 2同愛記念病院皮膚科

ページ範囲:P.793 - P.798

文献購入ページに移動
要約 症例1:56歳,男性.4年来の右鼠径部の3×4cm大の皮下結節.症例2:67歳,男性.約4年来の左後頸部の4×4cm大の腫瘤.症例3:50歳,男性.約2年来の前胸部の母指頭大の皮下結節.いずれも自覚症状なく徐々に増大した.それぞれ境界明瞭で弾性軟に触知し,下床との可動性は良好で,すべて全摘した.病理組織学的には皮下の線維性被膜に囲まれた腫瘤で,成熟脂肪細胞と紡錘形細胞の増生からなり,間質には膠原線維が混在していた.全例とも紡錘形細胞はCD34陽性であり,症例3では粘液基質が多かった.MRIでは,脂肪抑制のある内部が不圴一な腫瘍であるが,脂肪抑制は腫瘍内部の脂肪成分の多寡により左右される.また紡錘形細胞の部分はT1・T2で低信号を呈するが,症例によって粘液基質など構成成分の偏りがあるため内部の信号強度は一定しない.また病理組織像の多彩さから,pleomorphic lipoma,myxolipomaなど他の脂肪腫や悪性のliposarcomaなどと鑑別が必要である.

参考文献

1) Enzinger FM, Harvey DA:Cancer 36:1852, 1975
2) Fletcher CD, Martin-Bates E:Histopathology 11:803, 1987
3) ニンデル・マーギット,他:皮膚病診療 28:435, 2006
4) 李  民,他:皮膚臨床 53:769, 2011
5) 高橋洋人,他:臨放 53:1147, 2008
6) 久保山智世,他:西日皮膚 72:216, 2010
7) 伊地知亜矢子,他:西日皮膚 75:419, 2013
8) 定月 亮,他:関東整災誌 43:30, 2012
9) 唐川 大,他:皮膚臨床 48:242, 2006
10) 高橋美貴,他:皮膚臨床 54:125, 2012
11) 春原真理,他:日形会誌 32:835, 2012
12) 蜂須賀康己,他:日胸 66:338, 2007
13) 森下慶子,他:日口腔外会誌 58:232, 2012
14) 堀口雅敏,他:日形会誌 32:676, 2012
15) 岡田拓朗,他:耳鼻臨床 105:969, 2012
16) 佐藤敏秀,他:日外科系連会誌 39:1012, 2014
17) 清水久美子,他:皮膚病診療 35:557, 2013
18) 吉田益喜,他:皮膚臨床 50:1629, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?