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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻10号

2018年09月発行

症例報告

穿刺吸引細胞診による甲状腺乳頭癌の皮膚播種と考えられた1例

著者: 北口紘子1 白瀬智之2 奥野知子2 木原実3 吉川義顕14

所属機関: 1大津赤十字病院皮膚科 2大津赤十字病院病理部 3医療法人神甲会隈病院外科 4公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院皮膚科

ページ範囲:P.805 - P.809

文献概要

要約 21歳,女性.甲状腺腫瘍を指摘され,当科初診の4年前と3年前に穿刺吸引細胞診を2回受け,その結果甲状腺乳頭癌の診断で甲状腺全摘術が施行された.当科受診の4か月前に頸部腫瘤を自覚し,当科初診時には頸部に約4mm大の淡い紅色を呈した腫瘤を認めた.腫瘤を全摘し,病理組織学的所見および発生部位から穿刺吸引細胞診による甲状腺乳頭癌の皮膚播種と診断した.穿刺吸引細胞診は安全で非侵襲的な検査方法であり,甲状腺乳頭癌が穿刺経路播種を起こす頻度は比較的稀とされている.しかしながら,穿刺吸引細胞診の合併症として穿刺経路播種が起こりうることは皮膚科医も知っておくべきであり,皮疹部位に穿刺の既往がある場合には穿刺経路播種も鑑別に挙げ診察する必要があると考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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