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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻10号

2018年09月発行

症例報告

左上肢に生じたNocardia brasiliensisによるリンパ管型原発性皮膚ノカルジア症の1例

著者: 安藤はるか1 山内輝夫1 北見由季1 末木博彦1 五ノ井透2

所属機関: 1昭和大学病院皮膚科 2千葉大学真菌医学研究センター

ページ範囲:P.815 - P.820

文献概要

要約 82歳,男性.左肘頭に擦過傷を負った1か月後,受傷部に紅色結節が出現,その後左上腕に紅斑が拡大し当科を受診した.左肘頭に25×15mmの排膿を伴う隆起性紅色結節,左上腕に軽度圧痛を伴う鶏卵大の硬結性紅斑を認めた.病理組織学的に非特異的化膿性肉芽腫像を認めたが,組織内に菌成分はなかった.生検組織の細菌および真菌培養で乾燥性白色集落が得られ,遺伝子検査でNocardia brasiliensisと同定した.呼吸器症状はなく,リンパ管型の原発性皮膚ノカルジア症と診断した.ミノサイクリン200mg/日を37日間内服し治癒した.本邦報告例61例を検討したところ,本症は65歳以上の高齢者の男性に多く,基礎疾患や免疫抑制剤の使用がない例が半数以上を占めた.起因菌はN. brasiliensis,臨床型はリンパ管型が圧倒的に多かった.本症は菌種により薬剤感受性も異なるため,確実に同定を行うことが重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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