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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻11号

2018年10月発行

文献概要

症例報告

炎症性局面型cutaneous arteritisの1例

著者: 嵩幸恵1 水川良子1 福山雅大1 新田桐子2 勝田倫江2 大山学1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室 2公立阿伎留医療センター

ページ範囲:P.847 - P.851

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要約 52歳,女性.3年前から左下腿内側に浸潤を有する母指頭大の紅斑が出現した.消長を繰り返しながら手拳大に拡大し紅斑局面となった.1年前から左腹部に同様の皮疹が出現し,いずれの皮疹も圧痛のある皮下結節を辺縁に伴っていた.限局性強皮症を疑い皮膚生検を施行し,真皮全層の血管周囲性の細胞浸潤と皮下脂肪組織の中型血管の壊死性血管炎を認め皮膚動脈炎(cutaneous arteritis:CA)と診断した.局面を呈する臨床所見からChanらの報告したinflammatory plaque with peripheral nodules typeのCAと考えた.皮疹はステロイド外用でわずかに色素沈着を残し数か月で消退した.インフルエンザ罹患時に皮疹が再燃したがステロイド外用で軽快し寛解を維持した.局面を呈するCAは稀だが見逃されている可能性もあり,原因や予後については不明な点が多い.辺縁に結節を伴う点が臨床的特徴であり,このような皮疹を診察した際にはCAを鑑別疾患として想起すべきである.

参考文献

1) Lindberg K:Acta Med Scand 76:183, 1931
2) Jennette JC:Clin Exp Nephrol 17:603, 2013
3) Chan PT, et al:J Am Acad Dermatol 60:320, 2009
4) Matsumoto A, et al:J Cutan Pathol 44:210, 2017
5) Ishiguro N, Kawashima M:J Dermatol 37:85, 2010
6) Kermani TA, et al:Semin Arthritis Rheum 42:213, 2012
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9) Trueb RM, et al:Br J Dermatol 141:1117, 1999
10) Kariv R, et al:Medicine(Baltimore) 79:349, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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