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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻11号

2018年10月発行

文献概要

症例報告

腰部に発生した孤発性線維性腫瘍の1例

著者: 野口絵麻1 村田哲1 神谷浩二1 前川武雄1 小宮根真弓1 大槻マミ太郎1

所属機関: 1自治医科大学皮膚科

ページ範囲:P.875 - P.880

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要約 35歳,女性.7年前から腰部皮下腫瘍を自覚したが,増大なく放置していた.今回子宮筋腫精査の骨盤部MRI検査で指摘され紹介された.術前画像検査では,境界明瞭だが,深部筋層に一部浸潤が疑われる充実性腫瘍で,内部に豊富で不均一な血流を有し,周囲に側副血行路の発達を認めた.全摘した腫瘍の病理組織学的所見では,紡錘形や卵円形の腫瘍細胞が特定の配列を呈さず,毛細血管を伴って増殖しており,鹿角状分枝血管も散見された.免疫染色でCD34陽性,S100蛋白陰性,さらにSTAT6が腫瘍細胞の核内に陽性で,孤発性線維性腫瘍(solitary fibrous tumor:SFT)と診断した.SFTは,線維芽細胞・筋線維芽細胞系腫瘍(中間悪性度群)に分類される血流豊富な軟部腫瘍である.SFTの大部分は予後良好だが,稀に再発を繰り返したり転移を生じたりする例もあり,注意深い経過観察が必要である.

参考文献

1) Fletcher CDM, et al:WHO Classification of Tumours of Soft Tissue and Bone, World Health Organization Classification of Tumours, Lyon, p80, 2013
2) 吉田朗彦:腫瘍病理鑑別診断アトラス 軟部腫瘍,文光堂,p20, 2011
3) Robinson DR, et al:Nat Genet 45:180, 2013
4) Chmielecki J, et al:Nat Genet 45:131, 2013
5) Schweizer L, et al:Acta Neuropathol 125:651, 2013
6) Wignall OJ, et al:AJR Am J Roentgenol 195:W55, 2010
7) Ginat DT, et al:AJR Am J Roentgenol 196:487, 2011
8) 須藤亜希子,他:日臨外会誌 78:1381, 2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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