icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻11号

2018年10月発行

文献概要

症例報告

前胸部に生じて外科的切除で寛解を得た原発性皮膚濾胞中心リンパ腫の1例

著者: 荒川伸之1 櫻井英一2 菊池剛彰3 赤坂季代美1 前田文彦4 佐藤孝5 赤坂俊英6 天野博雄1

所属機関: 1岩手医科大学皮膚科学教室 2皮ふ科桜井医院 3赤坂病院皮膚科 4前田皮膚科クリニック 5岩手医科大学病理学講座機能病態学分野 6北上済生会病院皮膚科

ページ範囲:P.881 - P.885

文献購入ページに移動
要約 32歳,男性.2014年初めより左前胸部に皮疹を自覚,増大あり同年10月に前医受診.切除生検の結果『反応性濾胞過形成』と診断,経過観察されていた.2015年2月,同部位に皮下結節が再燃し同年7月に精査目的で当科紹介受診した.初診時20×12mmの可動性不良な皮下結節がみられた.病理組織像で,真皮中層から皮下に結節性ないしびまん性に小型リンパ球,centroblastとcentrocyteがみられた.免疫染色で異型細胞はCD20,CD79a,CD10陽性,bcl-2,MUM-1陰性だった.免疫グロブリン重鎖の遺伝子再構成もみられた.検査結果より原発性皮膚濾胞中心リンパ腫と診断した.単発であり外科的切除を行う予定とした.しかしその後,皮下結節が複数新生し放射線療法を選択した.治療後病変は縮小,消失したが,半年後に項部に同病変が再燃し外科的切除を行った.術後2年経過するも再発はみられない.本病型においては,cutaneous lymphoma international prognostic indexを用いた予後判断と,早期かつ適切な確定診断が重要と思われた.

参考文献

1) Willemze R, et al:Blood 105:3768, 2005
2) Senff NJ, et al:J Clin Oncol 25:1581, 2007
3) Grange F, et al:J Clin Oncol 19:3602, 2001
4) 酒井貴史,他:臨皮 66:73, 2012
5) 菅谷 誠:日皮会誌 122:3156, 2012
6) 濱田利久:日皮会誌 121:3086, 2011
7) Wilcox RA:Am J Hematol 91:1052, 2016
8) Zinzani PL, et al:J Clin Oncol 24:1376, 2006
9) Hamilton SN, et al:Int J Radiat Oncol Biol Phys 87:719, 2013
10) Hamada T, Iwatsuki K:J Dermatol 41:3, 2014
11) 古江増隆:皮膚のリンパ腫,最新分類に基づく診療ガイド,中山書店,p162, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?