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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻11号

2018年10月発行

文献概要

症例報告

インスリン注射部位に生じた皮膚Mycobacterium fortuitum感染症の1例

著者: 土田真弓1 遠藤千尋1 橋本直子1 吉田敦2 川島眞1 常深祐一郎1

所属機関: 1東京女子医科大学皮膚科学教室 2東京女子医科大学感染症科学教室

ページ範囲:P.897 - P.901

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要約 33歳,女性.初診12年前に1型糖尿病と診断され,インスリン注射を始めた.初診3か月前から左前腕に,1か月前から右大腿に結節が出現した.初診時,左前腕と右大腿外側に軽度隆起した紫紅色結節があり,圧痛を伴っていた.左大腿の結節から得た生検組織の病理組織像では真皮から皮下脂肪織にリンパ球や組織球,好中球が浸潤していた.生検組織の培養1週間で液体培地に白色微小コロニーが発育し,matrix-assisted laser desorption ionization-time of flight mass spectrometryでMycobacterium fortuitumと同定した.DNA-DNA hybridization法と16SrRNA遺伝子やhsp65rpoBのシークエンスもM. fortuitumに一致した.ミノサイクリンとレボフロキサシンを6か月内服し治癒した.本菌によるものも含め,インスリン注射部位に生じた非結核性抗酸菌症の報告がある.インスリン注射部位に結節や膿瘍,潰瘍を生じた場合,皮膚非結核性抗酸菌症を鑑別に挙げ,検査を進めるべきである.

参考文献

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13) Bossart S, et al:Case Rep Dermatol 8:151, 2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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