icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻12号

2018年11月発行

文献概要

症例報告

器質化肺炎を合併したSweet症候群の1例

著者: 加藤陽一1 谷冴香1 辻岡馨1 野口進2 島津弥生3

所属機関: 1日本赤十字社和歌山医療センター皮膚科 2日本赤十字社和歌山医療センター呼吸器内科 3日本赤十字社和歌山医療センター血液内科

ページ範囲:P.965 - P.970

文献購入ページに移動
要約 72歳,男性.左頰部に有痛性の皮疹が出現し,同時期に汎血球減少も指摘された.3週間後に発熱と呼吸困難も出現した.画像検査で両肺野に浸潤影を認め,感染性肺炎の疑いで抗生物質等による治療を受けたが改善しなかった.当科初診時,左頰部に境界明瞭で周囲がやや堤防状に隆起した大小の浸潤性紅斑を近接して認めた.皮膚生検および呼吸器内科的精査により,皮膚病変と肺病変をそれぞれSweet症候群,器質化肺炎と診断した.汎血球減少に加えて好中球核の過分葉を認め,骨髄異形成症候群の存在も疑われた.プレドニゾロンの全身投与により皮疹と肺症状は著明に改善したが,その後,急性骨髄性白血病を発症し,化学療法を受けるも脳出血により永眠した.Sweet症候群は稀に肺症状を合併し,器質化肺炎の所見を示すことがある.肺病変を伴うSweet症候群は,血液疾患の合併率が高いことが着目され,より積極的な血液学的精査が必要と思われる.

参考文献

1) Ormerod AD, Hampton PJ:Rook's Textbook of Dermatology, 9th ed, Wiley Blackwell, Oxford, Vol.2, chap.49, p6, 2016
2) 溝口晶子,他:皮膚臨床 28:131, 1986
3) Fernandez-Bussy S, et al:Respir Med Case Rep 6:16, 2012
4) Longo MI, et al:Am J Med 111:80, 2001
5) Cordier JF:Thorax 55:318, 2000
6) Chien SM, et al:Am J Med 91:553, 1991
7) Reid PT, et al:Respir Med 90:57, 1996
8) Karamlou K, Gorn AH:J Clin Rheumatol 10:331, 2004
9) Garg R, et al:Am J Med 119:e5, 2006
10) Chatham-Stephens K, et al:Pediatr Blood Cancer 51:128, 2008
11) 西本幸司,他:アレルギー 63:938, 2014
12) Tzelepis E, et al:Clin Respir J 10:250, 2016
13) El-Khalawany M, et al:Pathol Res Pract 213:143, 2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?