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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻12号

2018年11月発行

文献概要

症例報告

偽癌性増殖を伴った皮膚未分化大細胞リンパ腫の1例

著者: 松立吉弘1 木下華子1 水谷友哉1 村尾和俊1 久保宜明1

所属機関: 1徳島大学大学院医歯薬学研究部皮膚科学

ページ範囲:P.999 - P.1004

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要約 61歳,男性.約30年前から軀幹四肢に丘疹が生じていた.7年前にリンパ腫様丘疹症と診断し,ステロイド外用で消退・再発を繰り返していた.今回,2週間前から左下腿前面に4×4cmのドーム状に隆起する紅色腫瘍が生じたため受診した.生検で有棘細胞癌を疑ったため,腫瘍辺縁より1cm離して切除した.病理組織では,表皮は著明な過角化と不規則な増殖を認めたが,下方への浸潤性増殖はなく,核異型は軽度で,核分裂像は少数であった.真皮に大型の異型細胞が密に浸潤しており,浸潤細胞の約95%はCD30陽性であった.以上より,偽癌性増殖を伴った皮膚未分化大細胞リンパ腫と診断した.腫瘍切除後に電子線を30Gy照射し,再燃なく経過している.原発性皮膚CD30陽性リンパ増殖異常症のうち,特に原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫では,偽癌性増殖を伴うことがある.自然消退することが多いとされており,注意深く経過観察することも選択肢となりうると思われる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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