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文献概要
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文献紹介 C1インヒビター予防的皮下投与は遺伝性血管性浮腫の急性発作の頻度を有意に減少させる
著者: 野村尚志1
所属機関: 1慶應義塾大学
ページ範囲:P.1062 - P.1062
文献購入ページに移動 遺伝性血管性浮腫はC1インヒビターの欠損(1型)または機能障害(2型)によって引き起こされ,時に致死的となる疾患である.本試験では国際前向き多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照用量設定第Ⅲ相試験にてC1インヒビター製剤CSL830皮下注射の遺伝性血管性浮腫に対する治療有効性と安全性が評価された.対象はスクリーニング前の3か月間の中で,連続した2か月の間に発作が4回以上出現した1型ないし2型の遺伝性血管性浮腫患者である.患者をクロスオーバーデザインにてCSL830を40IU/kgまたは60IU/kgの用量で週に2回16週間投与しその後にプラセボを16週間投与する群と,逆の順序で投与する群の合計4群に無作為に割り付けた.主要有効性エンドポイントは血管性浮腫の発作回数(回/月)とし,副次的有効性エンドポイントは発作回数がプラセボと比較して50%以上減少した患者の割合と血管浮腫に対するレスキュー投与を行った回数とした.CSL830 40IU/kg,60IU/kg投与群ではプラセボ群と比して発作の出現率が有意に低下した〔40IU投与群−2.42回/月 95%信頼区間(CI)−3.38〜−1.46(p <0.001);60IU投与群−3.51回/月 95%CI−4.21〜−2.81(p <0.001)〕.発作回数がプラセボに比して50%以上減少した患者の割合は40IU群で76%(95%CI 62〜87),60IU群で90%(95%CI 77〜96)であった.レスキュー治療を要した回数は40IU群1.13回/月(プラセボ群5.55回/月),60IU群0.32回/月(プラセボ群3.89回/月)であった.有害事象の発症割合はCSL830投与群とプラセボ投与群で同等であった.以上よりC1インヒビター予防的皮下投与が遺伝性血管性浮腫の急性発作の頻度を有意に減少させることが示された.
参考文献
Longhurst H, et al:Prevention of Hereditary Angioedema Attacks with a Subcutaneous C1 Inhibitor. N Engl J Med 376:1131-1140, 2017
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