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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻13号

2018年12月発行

文献概要

症例報告

脂漏性角化症の病変内に生じたBowen病の1例

著者: 中村聡子1 若林祐次郎1 小俣渡1

所属機関: 1総合病院国保旭中央病院皮膚科

ページ範囲:P.1069 - P.1073

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要約 80歳,女性.初診40年前より右前胸部に褐色扁平隆起性結節を自覚していた.1年前よりその一部に紅色乳頭状結節が出現し,中央部が隆起し,易出血性となったため当科を受診した.扁平隆起性結節は10×20mm大で,正中側は褐色,外側は紅色を呈していた.結節中央には7mm大のびらんを伴う紅色隆起性病変があった.病理組織学的に褐色部と中央の隆起部は表皮内に基底細胞様細胞が増殖し,偽角質囊腫を認め,脂漏性角化症の像であった.一方,外側の紅色部は表皮全層性に異型ケラチノサイトが増生し,異常角化細胞も認めBowen病と診断した.2つの病変は組織学的に連続しており,臨床経過とあわせて脂漏性角化症に発生したBowen病と考えた.稀ではあるが,脂漏性角化症にBowen病などの皮膚悪性腫瘍を生じた例が以前より報告されており,臨床像が変化した際には悪性化の可能性を考慮し,積極的に精査すべきと思われる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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