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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科72巻13号

2018年12月発行

症例報告

盲腸癌の切除後,肝転移とほぼ同時期に生じたSister Mary Joseph's noduleの1例

著者: 山下彩1 大谷稔男1 服部晋明2

所属機関: 1倉敷中央病院皮膚科 2倉敷中央病院外科

ページ範囲:P.1075 - P.1078

文献概要

要約 57歳,男性.盲腸癌と診断され,当院外科で回盲部切除術を行った.4か月後,CTで肺に多発転移を認め,化学療法を開始した.以後,約3か月ごとにCTを行ったが,肺転移に著変なく,他臓器への転移はみられなかった.回盲部切除術から1年半後,臍部に疼痛を伴う結節が出現し,2か月後に当科を受診した.皮膚生検で盲腸癌によるSister Mary Joseph's noduleと診断した.CTを行ったところ,肝に転移を認めた.2000年以降の本邦報告例では,盲腸癌を含む大腸癌の診断時にSister Mary Joseph's noduleを認めず異時性に生じた例は,自験例を含めて26例中6例と比較的少なかった.また,Sister Mary Joseph's noduleを生じた大腸癌の患者は,同病変を生じた胃癌の患者に比べて,肝転移を併発している頻度が高かった.Sister Mary Joseph's noduleは予後不良の徴候として知られるが,原発臓器や発症する時期により,予後に多少の差異がみられる可能性が考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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